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ソフトバンクとヤフーの決済サービス「PayPay」の強みとは? 中山社長が語るALIPAY DAY 2018

ソフトバンクとヤフーが合弁会社「PayPay」を設立。このPayPayが、2018年秋からQRコードを使った決済サービスを開始する。コード決済サービスは既に多数存在するが、PayPayの強みはどこにあるのか?

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 ソフトバンクとヤフーが合弁会社「PayPay(ペイペイ)」を設立。このPayPayが、2018年秋からQRコードを使った決済サービスを開始する。サービス名は会社名と同じ「PayPay」。

 同社は「スマホ決済ユーザー数ナンバーワン、加盟店ナンバーワンを目指す」と宣言しているが、どのような戦略を持ち、どんな準備を進めているのか。アント フィナンシャル サービスグループが9月5日に開催したセミナー「ALIPAY DAY 2018」に、PayPayの中山一郎社長が登壇し、「ソフトバンク、ヤフーが仕掛けるWキャッシュレス革命」と題して語った。

PayPay
PayPayの中山一郎社長

 出資元のソフトバンクとヤフーがPayPayにかける思いは強く、中山氏は、ソフトバンクがADSLでインターネットを普及させたときと同じくらいのインパクトを残したいと意気込む。PayPayが目指すのは、中国のAlipayやインドのPaytmのような巨大なサービスに成長させること。ソフトバンクグループの孫正義社長は「日本でも(モバイル決済が普及している中国やインドと)同じことがこれから起きる」、ヤフーの川邊健太郎氏は「もう1個ヤフーを創るぐらいの覚悟」と決算会見で語っており、2社の代表もPayPayに大きな期待を寄せている。

PayPay
日本版の「Alipay」「Paytm」を目指す

 PayPayの決済方法は大きく2つある。1つが、店員にQRコードを見せ、店員が決済端末でバーコードを読み取る方法。もう1つが、店舗が提示したバーコードをユーザーがスマートフォンで読み取り、金額を入力した画面を店員が確認してから決済をする方法。バーコードは専用のPayPayアプリや、Yahoo!Japanアプリからも表示できる。決済はクレジットカードとひも付ける方法と、銀行口座からチャージした金額を使う方法を選べる。……と、これだけだと競合サービスと大差ないが、PayPayの強みはどこにあるのか。

PayPay
QRコードを見せるか、読み取るかで決済をする
PayPay
決済方法はクレジットカードか銀行口座からのチャージを選べる

 中山氏がまず挙げるのが、ソフトバンクの営業ノウハウ。優れたサービスも、使える場所が少なければ意味がない。現在、ソフトバンクの営業スタッフが全国20拠点でPayPayの店舗開拓を急ピッチで進めており、大型店と個店ともに、6月から8月にかけて大幅に導入数が増えている。「8月末までは東京、大阪、名古屋、福岡で先行して営業をかけ、今週(9月2日以降)から新たに16箇所の拠点を立ち上げた」と中山氏は20拠点開拓の経緯を話す。

PayPay
ソフトバンク、Yahoo! Japan、Paytmの資産を活用できるのがPayPayの強み
PayPay
全国20拠点で大掛かりな店舗営業を展開している
PayPay
縦軸がないので規模感は分からないが、加盟店は順調に増えているようだ

 PayPayでは決済手数料を3年間無料にする。決済端末を使わず、店頭に提示したバーコードをユーザーが読み取る方法なら、決済端末にまつわる費用もかからない。さらに、PayPayの加盟店になると、2019年1月末まで決済額の1%を店舗に還元するキャンペーンも先着30万店舗を対象に実施している。

PayPay
店舗側がPayPayを導入するメリット
PayPay
決済額から1%を還元するキャンペーンも行う

 続いて中山氏が強みに挙げるのが、Yahoo! Japanの顧客基盤を活用できること。PayPayとYahoo! JAPAN IDを連携させ、Yahoo! JAPANアプリからPayPayが利用可能になる。さらに、Yahoo! JapanのECサービスとも連携し、Yahoo! Japanショッピングやヤフオク!などの支払いにもPayPayが使えるようになる予定。「Yahoo!も同じようにYahoo!ウォレットを展開しているので、一緒に育んでいきたい」と中山氏。

PayPay
Yahoo! JapanアプリのトップからもPayPayの支払いができる
PayPay
Yahoo! JapanのECサービスの支払いにも使える予定

 もう一つの大きな特徴が、インドの決済インフラ事業者「Paytm」と連携し、同社の技術を導入すること。Paytmの決済サービスはインドで3億人に使われ、加盟店数は800万に上る。ちなみにPaytmはソフトバンク・ビジョン・ファンドやアリババグループが出資している企業でもある。中山氏は「Paytmの技術責任者とは毎朝30分〜1時間テレビ会議でさまざまなことを話し、問題があったときは平日でも休日でも、必ず24時間以内に解決するようにしている」と話す。

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インドの決済プラットフォーム「Paytm」との連携。中山氏もインドに何度か訪れて、Paytmのサービスを体験したそうだ

 ユーザーに対しては「お得」も訴求していく。キャンペーンの詳細は「検討中」とのことだが、ソフトバンクのキャンペーンとも連携していくようで、「SUPER FRIDAY」「いい買い物の日」などと絡め、PayPayで決済をしたらポイント還元率アップなどの施策が期待できそうだ。

PayPay
ユーザーにとってもお得なキャンペーンを展開する

 まずは2018年秋のローンチに向けて準備を進め、ここを第1フェーズとする。第2フェーズでは、PayPayの加盟店で訪日中国人を対象に「Alipay」での決済も可能にする。店頭で提示したQRコードから、Alipayでも決済できるようになるわけだ。個人間送金の提供も予定している。先述したYahoo! JapanのECサイトとの連携は、第3フェーズとして対応する見込みだ。

PayPay
インバウンド対応の一環として、Alipayとの連携する
PayPay
PayPayのロードマップ

 加盟店開拓が順調に進んでいることは分かったが、後はいかに多くのユーザーに「お得」を打ち出せるかが重要だ。ユーザー向けの施策がどんな内容になるか、発表を待ちたい。

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PayPayの戦略まとめ
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PayPayのビジョン

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