Android 9 Pieの新「ナビゲーションバー」 普及なるか?:ふぉーんなハナシ
Android 9 Pieの目玉の1つに、Android 3.0(4.0)以来となる「ナビゲーションバー」の刷新があります。しかし、この新しいナビゲーションバー、今のところ採用率があまり高くないような……。
ちらほらとAndroid 9 Pieをプリインストールしたスマートフォンが世に出始めました。既存のAndroidスマホでも、同OSへのバージョンアップが始まっています(参考記事)。
OSバージョンアップをする際は、新機能や仕様変更が付きもの。Android 9でも例外ではありません(参考記事)。しかし、端末メーカーがあまり採用しようとしない仕様変更もあります。
Android 9の新しい「ナビゲーションバー」
Androidにおいて、「戻る」「ホーム」「タスク(アプリ履歴)」といったアプリの操作に使うシステムキーは「ナビゲーションキー」と呼ばれています。Android 3.0(スマホではAndroid 4.0)以降のOSでは、これらのキーを「ナビゲーションバー」として画面で表示することが推奨されています。
Android 3.0(4.0)以降では「ナビゲーションバー」として画面内設置が推奨されているナビゲーションキー。写真のように一般的には「戻る」「ホーム」「タスク」の3つが配されるが、メーカーによってはカスタマイズで他の機能も持たせている場合がある
Android 9では、このナビゲーションバーが刷新されました。主な変更点は以下の通りです。
- 「ホーム」と「タスク」が統合された
- 不要なときは「戻る」キーが表示されない(アプリ側の対応も必要)
- 画面自動回転をオフにしている場合に横(縦)画面に固定する機能が追加された
特に、ホームキーとタスクキーが統合されたことは大きな変化。従来のタスクキーに相当する操作は、「ホームキーの上方スワイプ」に置き換えられています。
同OSをプリインストールするGoogleのスマートフォン「Pixel 3」「Pixel 3 XL」では、この新しいナビゲーションバーを全面採用。操作体系を一新しています。
サードパーティーも追随……しない?
この新しいナビゲーションバーはAndroid 9をプリインストールするサードパーティー端末でも採用……されると思いきや、意外とそうでもないようです。
まず、いち早く同OSのプリインストールを表明したソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ3」は、旧来のナビゲーションバーを搭載。新しいナビゲーションバーには対応していません。
また、日本でも今日(11月30日)発売された「HUAWEI Mate 20 Pro」も、Android 9をプリインストールしていますが、ナビゲーションバーは従来仕様。Huawei独自の「ジェスチャー」操作は備えるものの、やはり新しいナビゲーションバーは使えません。
一方、シャープの「AQUOS zero」「AQUOS R2 compact」は新ナビゲーションバーを標準としつつ、設定を変更すれば従来仕様のナビゲーションバーも使えるようにしています(参考記事)。いち早くOSバージョンアップした「Essential Phone」についても、新旧のナビゲーションバーを切り替えられる仕様となっています。
新ナビゲーションバーを採用しないのはなぜ?
このように、Android 9をプリインストールするスマホでも、新ナビゲーションバーを採用するかどうかは判断が分かれています。それは一体なぜなのでしょうか。
先述の通り、新ナビゲーションバーは操作方法が一新されています。筆者がAndroidを普段使っている複数の知人にPixel 3/Pixel 3 XLを使わせてみたところ、ほぼ全員が操作に戸惑っていました。操作体系が変わると、うまく操作できないユーザーは確実にいるのです。
新ナビゲーションバーを採用しなかったメーカーは、ユーザーの戸惑いをなくすために、新ナビゲーションバーをあえて採用しなかったことが考えられます。
「シャープやEssential Phoneのように切り替えできるようにすればいいじゃん」という声もあるでしょうが、不用意な操作で設定が切り替わって混乱するユーザーのことも想定すると、切り替えできることが正解であるともハッキリとは言えません。逆パターンではありますが、Pixel 3/Pixel 3 XLで旧ナビゲーションバーに切り替えられないのも、「不用意な切り替え」に対する戸惑いを避けるという観点からかもしれません。
もう1つ、あえて採用しなかった理由として考えられるのは自社開発のホームアプリと新ナビゲーションバーとの“親和性”です。Pixel 3/Pixel 3 XLのオリジナルホームアプリ「Pixel Launcer」は新ナビゲーションバーとの親和性が高く、タスク表示内にGoogle検索ウィンドウやよく使うアプリの表示もできます。
このような新しい操作体系と、自社オリジナルのホームアプリの親和性を高めるべく検討を進めた結果、初期のAndroid 9端末では新ナビゲーションバーの採用を見送ったとも考えられます。
もしも自社オリジナルホームアプリとの親和性に一定の“答え”が出れば、後から出る新機種やソフトウェア更新で新ナビゲーションバーに対応する可能性もあるでしょう。
ただ、新ナビゲーションバーを採用していないメーカー(端末)でも、新しい画面方向固定機能は共通して採用されています。操作体系やホーム画面との親和性には影響しない範囲だからだと思われます。
ともあれ、新しい操作体系には一定の拒否反応が出るのは当然のこと。端末メーカーとユーザーの双方にAndroid 9の新しいナビゲーションバーが“浸透”するには、ある程度時間が掛かりそうです。
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