ソフトバンク通信障害の原因は「エリクソンの技術的ミス」 エリクソン・ジャパンが説明
エリクソン・ジャパンが、12月6日に発生したソフトバンクの通信障害の原因について説明した。通信障害が発生した原因は、コアネットワークにあるMME(Mobility Management Entity)のソフトウェア証明書の有効期限が切れていたため。ただし根本原因は依然として調査中。
エリクソン・ジャパンが、12月6日に発生したソフトバンクの通信障害の原因について10日に改めて説明した。【訂正、追記あり】
10日は、世界のモバイル通信トレンドを解説する「モビリティレポート」の最新状況を説明する場だったが、その前週にエリクソンの機器が原因で通信障害が起きたことから、質疑応答では障害に関する話が多く挙がった。エリクソン・ジャパンは12月6日の告知以上の情報は持ち合わせていないとしつつも、同社が把握している限りの情報を説明した。
通信障害が発生した原因は、コアネットワークにあるMME(Mobility Management Entity)のソフトウェア証明書の有効期限が切れていたことだったと、エリクソンは説明している。エリクソン・ジャパン チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)の藤岡雅宣氏はMMEについて、ユーザーがモバイルネットワークで通信をする上で「ネットワーク的には頭脳に近いところ、極めて基本的な設備」だと話す。
「お客さんがネットワークに接続したいときは、まずMMEで受けて、(加入者管理装置)のHLR/HSSで認証する。位置情報の登録も、端末からMMEを経由してHLR/HSSで行う。MMEは、ユーザーのパケットが通るルートではなく、制御信号が通るルートに入っているノード」(藤岡氏)
ソフトウェア証明書とは、MME自体を使えるようにするためのもの。なぜこの状況が起きてしまったか(証明書の期限切れに気付かなかったのか)の根本原因については「調査中。エリクソンの技術的なミスだと対外的には言っている」(エリクソン・ジャパン)としている。
エリクソンのパケット交換機(MME)の異常を原因とする通信障害は、海外でも11カ国で同時に起きたが、ソフトバンクと英O2が公表している以外の情報は、公開されていない。「お客さま(ソフトバンクとO2)が発表されたので、相談して、エリクソンも発表していいということで発表した。ソフトバンクさんに11カ国と伝えたが、どの国かは公開していない。国名を言うと、エリクソンのお客さん(通信キャリア)がどこかが分かってしまう。お客さんが発表されていない限りはお伝えしていない」(エリクソン・ジャパン)
ソフトバンクでは、MMEのソフトウェアを旧バージョンに戻すことで復旧できたが、あくまでソフトバンク主導の下に行った措置だった。他国が同様の方法で復旧したかどうかは、「他も恐らく同様の方法で解決したのだろうが」としつつも、日本には情報が来ていないとのこと。また「障害の近い時期に、(MMEのソフトウェアに対して)何らかの作業、アップグレードをしたということはない」とのこと。
また、全国規模で障害が起きたことから、ソフトバンクのコアネットワーク(パケット交換機)はエリクソン1社である可能性が高い。ソフトバンクは東京と大阪にパケット交換機を設置しているが、どちらか一つの地域で別のベンダーの装置を採用していたら、今回のような障害は起きなかったはず。藤岡氏は、「地域ごとにコアネットワークのベンダーを分けている通信事業者はたくさんある。(ソフトバンクでは)東京と大阪で同じソフトウェアが入っているために(全国で)障害が起きた」と振り返った。
ソフトバンク広報に、パケット交換機のベンダーがエリクソンのみかどうかを問い合わせたところ、「コメントは控えたい」とのことだった。
エリクソン・ジャパンは「現在、お客さまと緊密な協力をして、完全なる根本原因の解析と、予防措置の特定に努めている」とコメントしている。
【訂正:2018年12月11日10時37分 初出時に、藤岡氏のコメントをもとに「ソフトバンクのコアネットワークはエリクソン1社であることも判明」と記述していましたが、「他社の機器を導入しているかは、エリクソン側では把握していない」との連絡を受け、一部記述を修正しました。また、ソフトバンク側のコメントを追記しました。】
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