2018年の中国スマホベスト5 “世界初の機能”に注目が集まる:山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)
2018年も数多くのスマートフォンが市場をにぎわしました。中でも中国メーカーからは次々と新製品が登場。海外メーカーを常に追いかけている筆者が、中国メーカーの2018年新製品の中からベストと感じた5機種を紹介します。
2018年も数多くのスマートフォンが市場をにぎわしました。中でも中国メーカーからは次々と新製品が登場。もはや「中国製だから」と色眼鏡で見ることのできない性能の製品が数多く出てきました。海外メーカーを常に追いかけている筆者が、中国メーカーの2018年新製品の中からベストと感じた5機種を紹介します。
1位:OPPO 「Find X」――カメラが動くギミックと美しさに驚く
高画質かつ美しいセルフィーが撮れるインカメラと独自開発した急速充電技術「VOCC」で世界シェアを伸ばしてきたOPPOですが、まさかカメラそのものを本体に収納してモーターで動かす機能を実現するとは思いませんでした。Find Xのリーク情報は早いうちから出ていましたが、コンセプトで終わると筆者は思ったものです。ところが製品となって出てきたFind Xはスライド機構の動きも滑らかで、カメラの起動時に遅さを感じさせない工夫をするなど十分使い物になる製品だったのです。
実はOPPOは過去にインカメラ重視の端末開発過程で「動くカメラ」を搭載した製品を発売したことがありました。2013年に登場した「N1」は本体上部のカメラが手動で前後に回転し、背面の高画質なカメラをインカメラとしても利用可能でした。翌2014年にはそのカメラの回転をモーター駆動にした「N3」に進化。カメラを動かすことに関しては既に今から4年前に実現していたのです。
とはいえ、Find Xのカメラギミックは裏面と表面、それぞれのカメラをどちらも同時に出し入れするというものです。2017年11月に登場した「iPhone X」以降、上部に切り欠きを入れたデザイン、いわゆる「ノッチ」ディスプレイを搭載するモデルが一気に増えました。しかしベゼルを薄くし画面占有率を高めた美しい「全画面」ディスプレイとノッチは相反するものです。ノッチレスディスプレイを実現するために、コストのかかる収納式カメラを実現したOPPOの開発力には素直に敬意を示したいと思います。しかも参入したての日本市場でも発売したのはうれしいことでした。
なお、同じカメラ収納式スマートフォンとしてVivoの「NEX」も出てきましたが、インカメラのみ収納式という点でFind Xには一歩負けるといったところ。とはいえNEXはディスプレイ埋め込み型指紋センサーを搭載するなどFind Xより高性能なところもあります。恐らく2019年には「Find X2」として同様に指紋センサーを内蔵したモデルが出てくると思われます。
2位:Nubia「Nubia X」――両面カラーディスプレイのすごさ
2画面スマートフォンは「YotaPhone」に代表される、裏面にE Inkを搭載したモデルがほそぼそと出てきています。裏もカラーにすればいいのでしょうが、コストが掛かることとアプリケーションが思い浮かばないことから、各社は実現に二の足を踏んでいました。ところが大手メーカーではないNubiaから世界初の2画面カラースマートフォンがいきなり出てきたのです。
表面は液晶、裏面は有機ELに材質を変えることで、それぞれの特性を生かした使い方ができるのがNubia Xの大きな利点。特に裏側はAlways on Displayにより時計や文字、グラフィックを表示することで、まるでイラストが描かれたカバーを装着したような外観にできます。ディスプレイとベゼルの色を合わせることで消灯時には光沢のある背面に、点灯時はまるで全画面がディスプレイのような美しい表情を見せてくれます。
Nubia Xもアイデアはインカメラをなくし、ノッチのない全画面ディスプレイを採用するために2画面としたものです。セルフィーを撮るときはカメラを切り替えるだけで裏のディスプレイが自動的に点灯します。今後はAlways on DisplayにSNSの通知を表示するなど、表画面のサブディスプレイとして使える機能などが拡充すれば、2画面のメリットもより高まるでしょう。
Nubiaは腕時計型スマートフォンも開発中で、他社のやらない新世代端末の開発に注力しています。もともとは親会社、関連企業となったZTEのスマートフォンに元気がない今、Nubiaにはフォルダブル(折りたたみ)スマートフォンなどの開発もぜひ行ってほしいものです。
3位:Huawei「Mate 20 X」――7.2型画面でゲーム機もライバルに
Huawei秋のフラグシップモデルのうち、日本では未発売のMate 20 Xはスマートフォンとしては特大の7.2型ディスプレイを搭載しています。AI機能強化のプロセッサ「Kirin 980」や大容量のメモリ、そしてLeicaのトリプルカメラを搭載したハイスペックモデル。新しい外部メモリ「NMカード」にも対応しています。このMate 20 Xはその大きさから、もはやライバルとしては他社のスマートフォンではなくポータブルゲーム機も意識しています。
Mateシリーズは当初、Galaxy Noteシリーズ対抗の大画面モデルでした。Mate 20 Xにも専用のスタイラスペン「M Pen」が登場し、手書き入力や画面操作が可能です。そのため筆者も「ようやくNoteのライバル機種が登場した」と考えたのです。ところが実際にMate 20 Xでペンを使ってみると、ペン先が固いため書き味はいまひとつ。Galaxy Noteの対抗にはまだ及ばないと思いました。
ところがMate 20 Xでゲームをプレイしてみると、画面が広いためタッチしやすく快適に操作できます。オプションでゲームコントローラーが発売されていることから分かるように、Mate 20 Xはゲーミングスマートフォンとしても使われることが考えられています。筆者は最近流行のバトルロイヤルゲームはしないのですが、カジュアルゲームをするときも7.2型の大画面だとポータブルゲーム機の感覚で使えます。Mate 20の発表会でもニンテンドースイッチと機能が比較されましたが、画面サイズはMate 20 Xの方が1型も大きく、解像度も上回っています。もちろん直接両者は比較できない製品ですが、モバイルゲーム市場が盛り上がりを見せる今、Mate 20 Xはゲーマー向けの製品として他社品を一歩リードした存在といえるでしょう。
Mate 20シリーズは4モデルあり、それぞれがハイスペックという他社を寄せ付けない強さを誇ります。ライトモデルも加えると5種類となり、「Mate 20」だけで1つのブランドと呼べるほどの製品でもあります。Huaweiを取り巻く環境は政治的な面もあり急変していますが、これだけの世の中に送り出しているのは事実。2019年の販売数も伸ばしていくでしょう。
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