検索
ニュース

下期の競争は落ち着く? 楽天モバイルとどう付き合う?――KDDI高橋社長一問一答(2019年第2四半期決算編)(2/2 ページ)

KDDIが2019年度第2四半期の決算を発表した。第1四半期で減益となったものの、第2四半期では増収に転じたため、通期の業績予想は据え置いた。この記事では、報道関係者向け決算説明会での高橋誠社長との主なやりとりを紹介する。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

楽天モバイルとの関係

―― 楽天モバイルとのローミング契約について、約款(PDF形式)によると、データローミングの通信料金が1GBあたり約500円(※2)に設定されています。auのエンドユーザー向けと遜色のない料金設定だと思うのですが、(楽天モバイルのローミングを受け入れることで)どのくらいの収入を得たいとお考えでしょうか。

※2 約款上のデータ通信料金は1パケット(128バイト)当たり 0.0000596(税別)

高橋社長 楽天モバイルとの規定があるので、この点(どのくらいの収益になるか)を開示することはできませんが、ある一定のお金(収益)をいただくことにはなります。

 今回、楽天モバイルはスモールスタートになってしまいましたが、ローミング料金には「定額」の部分と「従量」の部分があるので、それに従って頂戴することになりますが、今後どうなるかは今の所は表現しづらいです。

約款
KDDIが公開している楽天モバイル(MNO)ユーザー向けの「ローミングサービス契約約款」(PDF形式)では、ローミング時の通話・通信料金も定義されている。ただし、楽天モバイルと企業同士でどのような契約をしているのかは公開されていない

―― 楽天モバイルが「は無料サポータープログラム」としてMNOサービスを開始しましたが、そのことに対する受け止めを聞かせてください。

高橋社長 今年の春先からずっと言っていることではありますが、「仮想化ネットワーク」と、「実際にネットワークを作ること」は別問題です。基地局の整備はそう簡単なことではありません。

 10月1日に(エリアカバーに必要な)基地局がそろうとは思っていなかったので、「そうだろうなぁ」という感覚です。ただ、基地局の数はこれから増えてくるはずで、話を聞く限りは、かなりの体制でやっているようです。

 私たちとしては(楽天モバイルが本格的なサービスを始めるかもしれない)来年度(2020年度)に向けて、引き続き気を引き締めてやっていきたいと思います。

―― 楽天モバイルからのローミングされ具合はいかがでしょうか。

高橋社長 現在のローミング方式(S8リンク)では、ローミングの際に通信が切断されてしまいます。私たちと楽天モバイルの開発の関係でこうなってしまっているのですが、来年(2020年)の4月からは切断されない方式(S10リンク)に切り替える予定です。

 ローミングされ具合という面では、現状では東京23区外に出るとおおむね私たちのネットワークを経由してつながることは間違いないと思います。あと、地下鉄や楽天モバイルが対応できないビルなどは、去年(2018年)までに完成した基地局については貸しています。

 (楽天モバイルは)1.7GHz帯でエリアを作ることになるので、しっかり整備しないと(ローミングが終了した際に)室内浸透は厳しくなると思います。

災害対応について

―― 災害対策について「万全の体制を」という話がありましたが、先日の台風15号長時間の停波が発生してしまいました。下期に入ってからですが、台風19号でも多くの被害が出たと思います。これらの災害からどのような教訓を得たのか、どのような部分を強化すべきなのか、現在のお考えを聞かせてください。

高橋社長 先日台風15号と19号が来ましたが、ここ最近は災害が多く発生しています。

 私たちは災害があるごとに全社的に必ず(災害対応の)見直しを行っていて、現場主導で対策はできてきたと肌感覚では思っています。

 今回も延べ1万人を投入して復旧作業に当たっています。主に(停波は)電力や回線の問題が多く、これに対してどう対応していくかが問題です。電源や移動衛星などは増強し続けてきましたが、(その結果)今回の台風において、大手キャリアの中では基本的には一番早く(エリアの)復旧ができたと思っています。そういう意味で、私たちは常に全力を尽くしています。

 ただ、災害対応をする度に(新たな)課題は出てきます。台風19号の場合、風害や水害を想定していて、水害がメインになるとは考えていたのですが、まさか長野県(の千曲川流域)まで(被害が)およぶとは思っていませんでした。(被害が想定される地域には)事前に電源、移動衛星や移動基地局車などを配備していたのですが、(想定が甘かった)長野県では1日ほど配備が遅れてしまいました。

 このことも教訓にして、体制を改善していきたいと思います。

―― 台風復旧では延べ1万人が従事したとのことですが、設備面における災害対策の強化について、検討されていることがあれば教えてください。

高橋社長 台風15号では発電機を300台以上、可搬基地局を50台以上を出しました。台風19号では衛星基地局を40台以上、可搬基地局を50台以上、発電機を700台弱入れました。

 ここ数年、このような災害が「100年に1回」とはいえないペースで起こっているので、バッテリーや発電機の増備については、ネットワークの増強に合わせて対応していきたいと思います。

災害対応
KDDIの災害対策。今後も改善していくという
前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る