povo2.0の「月額0円から」は今後も続く? KDDI高橋社長の答え
KDDIが2021年度の通期連結決算を発表した。それに先立って楽天モバイルが「月額0円から」を撤廃する旨を発表したことから、KDDIの決算説明会ではpovo2.0の料金体系をどうするのかを問う質問が相次いだ。
KDDIは5月13日、2021年度通期の連結決算を発表した。前年度比売上高は2.5%増の5兆4667億円、営業利益は2.2%増の1兆606億円で「増収増益」となった。
同日、楽天モバイルは楽天グループ(親会社)の第1四半期連結決算の発表(※1)に先立って、新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」を発表した。このプランでは「月額0円から」の料金体系が撤廃され、全ユーザーが月額1078円からスタートすることになる。現行の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」の契約者は7月1日をもって“強制的に”移行される。
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「月額0円から」といえば、KDDIと沖縄セルラー電話が提供するオンライン専用ブランド「povo2.0」も当てはまる。そのこともあってか、5月13日に行われたKDDIの報道関係者向け決算説明会では、記者が高橋誠社長に対して「楽天モバイルの新プランをどう思うか?」「povo2.0をどうするのか?」と問いかける場面があった。その模様を簡単にお伝えする。
KDDIの2021年度連結決算のサマリー。ライフデザイン(非通信)領域とビジネスセグメントの売上高はわずかに目標未達となったが、それでも増収している。全体的には前年度比で「増収増益」となり、21期連続の増益を達成した
「やめるんだっていう感じですね」
記者 今日午前中に、楽天モバイルさんが「月額0円の廃止」を発表されました。それに対する受け止め(感想)と、御社に影響があるかどうかを教えてください。
高橋社長 (楽天モバイルの)午前中の発表内容はまだあまりフォローアップできておりません。「(月額)0円が廃止される」ということでちょっと内容を見てみたのですが、料金のことなのでちょっとコメントしづらいのですが「(月額0円を)やめるんだ」という感じですね。
私たちもpovoで月額0円からスタートしているわけですが、povoの「0円から」と楽天モバイルの「0円から」は意味合いが異なるような気がします。この後、発表内容を(改めて)見ながら、捉え方は整理したいなと思います。
「やめる理屈が分からない」
記者 確認ですが、povo2.0の「月額0円から」をやめるつもりはないですよね。
高橋社長 今のところやめる理屈が分からないです。午前中の話をまだよく分かっていないのですが、povoの場合は0円から始まりますが、(有料の)トッピングと合わせて価値を提供していると思っています。
新規のユーザーもトッピング込みで増えてきているので、今の所大きく変更する予定はありません。
Rakuten UN-LIMIT VIの「月額0円から」は1名義1回線限りではあるが無条件で適用される。一方で、povo2.0の「月額0円から」は、180日以内に「トッピングの購入」または「660円(税込み)以上の課金」を行うことが条件となる(参考記事)。
同じ「0円から」でも、片や課金条件がなく、片や課金条件がある。単純には比べられないということである。
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