Yahoo!InternetGuide: News Browse Focus「ニュースを発信したいネットユーザーたち」

Yahoo! Internet Guide　2002年7月号

2002年5月29日（水）

ニュースを発信したいネットユーザーたち

急増する“ブログ”は既存メディアへのアンチテーゼ？

asahi.comをはじめとしたニュースサイトからおもしろい記事を独自の視点で集め、コメントを付けて発信する個人ニュースサイトが増殖している。このようなサイトは海外では「ウェッブログ」（ブログ）と呼ばれ、米Yahoo!にもカテゴリがあり、多くのサイトが登録されている。

　そもそもブログはニュースに限らず、おもしろいリンク先をリストアップする形態のサイトのことで、日本に多数ある2ちゃんねるのスレッド紹介サイトもブログの1つといえる。そんな中でニュースを題材にしたブログが多いのは、新聞社・出版社のサイトが充実しており、個人ニュースサイト管理人がネタに困らず、読者との共通の話題として楽しめるからだろう。

　バナー広告で多少はお金を得られるかもしれないが、サイトだけで十分な収入が得られることはほとんどない。ではなぜ多くの人が個人ニュースサイトを作るのだろうか？　人気個人ニュースサイトの1つである「セガマニア＠大阪」の管理人、針氏は、「更新そのものはそれほど楽しいもんではないですが（笑）、読者からの反応・反響が一番の楽しみですね」と語る。

個人ニュースサイトの興隆は
既存メディアの在り方を変えるか？

　個人ニュースサイトの登場は、ある意味でメディアの在り方を変えるという見方もある。新聞や雑誌で、記者や編集者が意図的に作った論調や、特定の広告主に配慮した記事内容に抵抗を感じている読者は多い。メディアで「意見」を表すジャーナリストとて、そのメディアの枠組みの中でしかモノを言えない。だがウェッブは、それら既存メディアに比べたら何も足かせがない。既存メディアの記事に対する疑問や抵抗、賛同などの意見を自由に表すことで、個人ニュースサイトの管理人は、無意識にそんなウェッブの自由さを楽しんでいるのかもしれない。個人ニュースサイトの盛り上がりが、既存メディアに多かれ少なかれ影響を与えていくことだろう。

●現在人気の個人ニュースサイト
個人ニュースサイトは98年ごろから増え始めた。「ムーノーローカル」「裏ニュース」「J-oの日記」などを源流とし、いまは無数に枝分かれしている。左は現在人気のあるサイトの一例。
■ TECH SIDE
個人ニュースサイトの大御所的存在。ツボを押さえたニュースを集め、更新も非常に頻繁。BBSも読者でとてもにぎわっている
■ sawadaspecial
ニュースに限らず、おもしろいサイトや2ちゃんスレッドもリストする典型的ブログ。コメントは少ないが、リンク先に個性が十分出ている
■ セガマニア＠大阪
セガの情報を集中的に収集。毎日これだけのセガのニュースが発生しているのに驚く。セガ社内の人でセガマニア＠大阪を知らない人は少ないだろう
■ グエンディーナ・ニュース
アニメ、声優などの情報を深く収集。人を選ぶサイトだが、興味を持っている人にとっては絶品の情報源。声優のラジオ情報がとくに強力

●個人ニュースサイトの情報を利用するサイト
「個人ニュースサイトを利用した個人ニュースサイト」も登場してきている。1つのメディアとして確立しつつある証？ほかに「俺ニュース」など。
■ ばるぼらあんてな
個人ニュースサイトで多く扱われた順にニュースを並べている。どのニュースが皆の注目を集めているか、興味を持たれているかが一目瞭然

●お手軽・個人ニュースサイト作成ツール
個人ニュースサイト増加の要因には、「ブログ作成ツール」の存在もある。米国のブログ人気も「BLOGGER」というサービスの存在が大きい。
■ ニュース・コレクター
ホームページ作成ソフトもFTPソフトも、HTMLの知識も何も必要ない。過去ログ作成などの面倒な作業も自動的にやってくれる

文/純谷吉松

News Browse Focus　3/3

個人ニュースサイトの興隆は 既存メディアの在り方を変えるか？

個人ニュースサイトの興隆は
既存メディアの在り方を変えるか？