CATVインターネット編 |
スピードは事業者によってまちまち 速度と料金の満足度は対照的な結果に
ADSLの登場で影が薄くなりがちなCATVインターネットだが、局からの距離に関係なく通信できる点や、同時加入のテレビサービスでは多チャンネル放送が楽しめるなど、その魅力が衰えたわけではない。ここでは、CATVユーザーの現状を分析してみよう。 |
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●事業者別CATVインターネット利用者数の割合
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まず初めに、CATV局を取り巻く現状を軽く頭に入れておいた方がいいだろう。日本には700近いCATV局があり、そのうちインターネット接続サービスを提供しているのは250局強。J-COM系列やイッツコムといった大手を除くと、加入者は数千〜数万という小さな局ばかりだ。そして、それらの局にインターネット接続サービスを提供しているCATV専門のプロバイダがある。それが「J-COM@NetHome」や「ZAQ」である。
ここで右上のグラフを見てみよう。まず目に付くのは、60%以上のシェアを取りながら、名前の出ない「その他」の事業者だ。ほとんどが第3セクターや地元資本で運営されている小さな局ばかり。しかし、数が多いため、利用者を合計すると最大勢力になる。
名前があがっている事業者では、日本最大のCATVインターネットだけあり、「J-COM@NetHome」が20%と大きな割合を占めている。
現在CATVインターネットサービスは、ADSLの大攻勢に押され、かつてほど加入数が伸びていない。そんな状況の中、各局では「下り回線スピード8Mbps」など、メニューの高速化を実施するところが増えている。ただし、中には下りの速度ばかりをアピールし、上りの速度はさほど速くない場合もある。自分のパソコンから大きなファイルをアップロード/送信するなど、使い方によっては上り回線の速度も重要だ。そこで、各CATV局の上り回線スピードの公称値の傾向を調べてみたのが左のグラフである。
最も多いのは、2Mbpsの21.7%。これは、利用者の多いJ-COM系列の局が下り8Mbps/上り2Mbpsでサービスを行っているため。8Mbps ADSLの下り回線スピードは1Mbpsなので、2Mbpsであれば十分対抗できる。一方、下り512Kbps以下の局が45.6%もあるのは驚きだ。ぜひ強化してほしいものである。
●CATVインターネット上り回線スピードの分布(公称値)
実効速度 |
1M〜2Mbpsのユーザーが32%で最多 |
下り回線の実効スピード分布では、1M〜2Mbpsが全体の32.2%と最も多い。公称値8Mbpsでサービスを行うJ-COM@NetHomeの利用者が20%を占めるわりには、低い結果となった。ただし、その一方で3M〜8Mbpsの実効速度を得ているユーザーが全体の20%を超えているのもまた事実。ADSLではこうはいかないだろう。
CATVインターネットは、たとえそれが同じJ-COMブランドで提供されていても、局による速度の格差が大きいという話は以前から指摘されている。また、局までの回線をほかのユーザーと共有するCATVの場合は、測定する時間帯によっても速度の差が大きくなりがちだ。早朝と夜間で倍も異なる結果が出ることも珍しくない。これらの点が、13ページのグラフのような結果に表れているのだろう。
ちなみに、10Mbps以上の利用者がいるのは何かの間違いと思われる。アンケート実施時点では、10Mbps超のサービスを実施している局はないはずだ。
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