ゆうすげ画帖
鳥のうたった歌
PAPILLONS
翅のある人魚の話
更級日記

1−6
田中淑恵「ゆうすげ画帖」54×43mm 1988年 コーネル装スケッチブック/信濃追分の泉洞寺裏ではじめて見たゆうすげの黄は今も目に沁みる。函にしまうようにその花の姿を写す。

1−7
田中淑恵「鳥のうたった歌」82×82mm 1988年 紙クロス装 初版(1972年)は約2倍のサイズでメゾチント4葉入 天地と左右に開く頁を組みあわせ、奥に縮小カラーコピーの版画を貼付

1−8
「PAPILLONS」74×74mm 1988年 3色の塵入和風ボードの羽をひらくと17枚の四角いギニアの蝶の切手があらわれる 銀の留金が目玉になった本

1−10
久浪忍(田中淑恵)「翅のある人魚の話」 36×39mm 1988年 初版は1975
年 チリ付夫婦函入/翅のあるものは何でも好きだった。いくつか書いた翅のある人魚の話の最も短いもの。

1−11
藤原孝標女「更級日記」 78×60mm 1988年 高貴綴和本上下巻 ちりめん薔薇窓帙入/物語を愛し,夢と現実を否応なく知る娘の姿は,千年の昔もいまも少しも変わることがない。

1−15
グリーナウェイ「A APPLE PIE」 28×33mm 1988年 本文はドールハウスのミニチュア本総革装 AからZまでの文字の絵本

1−17
邑崎恵子(田中淑恵)「仔犬の絵葉書」 42×35mm 1988年 初出1981年「水絵具の村」所収 白木の額縁本 紙クロス装

2−3
3月「TULIPS」100×59mm 1996年 
● 縦長のチューリップの切手8枚をおさめたチューリップ型の本。八重や斑入りや色とりどりの花が街にあふれはじめると、春がいちどにやってくる。

2−4
4月 田中淑恵「ちょうちょのふりそで」98×コ1996年 初出「とうげの旗」1979年5月号
花ふぶきの舞う桜の樹の下に、みずいろのちょうちょのふりそでを着た人形がすわっています。子ぎつねは、返すつもりもないけれど、そのふりそでをちょっとだけ借りたくなって…。
● 千代紙を貼ったふりそで型の本。本文は3色の蝶の飛んだ和紙。栞紐の先に水色の蝶。
函の留め具はピアス。題簽の蝶は起こし絵風。

1−7
7月 松永茂雄「あ・しいさいど・すとおりい」90×64mm 1996年
夏の海辺で知り合った正弘を忘れられないすみ子に、東京へ戻ってから待ち望んだ再会がおとずれたのだったが…。学徒出陣で若い命を散らした松永茂雄の「流れるいのち」所収の小品。
● 本文は波模様のレター・ヘッド。扉は透明フィルム。アクリルの函に貝の蛍光シール貼。

2−12
12月 田中淑恵「砂糖漬専門店」84×65mm 1991年 初出1969年「高南の窓」
オリオンの輝く冬の夜、異国の調理師は路地裏の砂糖漬専門店にやってくる。店の老婆がようやく作り方を教えてくれた、世にもおいしい砂糖漬とは。
● 表紙は砂糖漬風の紙スープル。見返しはフランス製マーブル紙。

2−13
「愛の詩集」99×70mm 1991年
レイモン・ラディゲ、ジャック・プレヴェール、エミリイ・ディキンソン、佐藤春夫、嵯峨信之など10篇の愛の詩のアンソロジー。
● 背はベージュのトカゲ革、表袖はエンジ、裏袖はグリーンの山羊革の継表紙。金属の天使とハート型のガラス玉貼付。

2−14
田中淑恵「星の木の実」46×41mm 1992年 初出「銀の匙」20号
流れ星が落ちた場所から生えた木には、星の木の実がみのりました。暗い冬の夜、こどもたちはこっそりとその木の実を取ろうとでかけます。
● 8枚の木の板をつないだ本。

2−15
石寒太「あるき神」87×58mm 1995年
●原本より30句を選んだ句集。本文鳥の子紙。表紙は染袖貼。函は土佐の村染和紙。

2−16
「WORPSWEDE」75×75mm 1995年
● リルケやフォーゲラーが交流した北ドイツの芸術家村ヴォルプスヴェーデの写真集。四季がそれぞれ違った方向に開く。函は麻布貼。リボン付。

3−1
大井三重子「めもあある美術館」天地86×左右61mm 2000年製作 40頁
何もかも思うようにいかず、気がくさくさしていた「ぼく」が、裏通りの骨董屋で見つけた、亡きおばあちゃんの絵。その絵を買った男に連れられて行ったのは、自分の思い出が絵になって飾られている「めもあある美術館」だった。
● 挿絵二葉入。本体プリント布+革のコーネル装。見返し手染マーブル紙。タイトル金箔押。牛革と蜥蜴革のモザイクの函付。

3−2
曹雪巻芹「紅楼夢*金陵十二釵」天地84×左右59mm 2000年制作 32頁
大観園に住む名門賈家の御曹司、宝玉の姉妹従姉妹は美人ぞろい。彼をとりまく12人の美女を金陵十二釵と呼ぶ。宝玉は、従姉妹の林黛玉に惹かれているが、病弱な黛玉は若くしてみまかる。やがて、一門は腐敗の果てに没落し、宝玉の行方は杳としてしれない。
● 灰青のクロスと紺のプリント柄のスエードの継表紙。中国の紅楼夢の切手(黛玉)貼。
本文には12人の切手貼込。見返し縦縞和紙。帙は金繭紙貼。同じく史湘雲の切手貼。
背は題簽貼。留具はタッセル型イヤリングに朱のキャッツ・アイ。

3−3
「恐竜図鑑」天地75×左右91mm 2000年制作 20頁
● ステゴサウルス、プテラノドンなど、16匹の恐竜のカラー図鑑。恐竜の背中の突起のような緑のビーズを棒に通して綴じにしてある。見返しはプリントのマーブル紙。函はうす緑のうろこ模様型押牛革。水牛の骨製の三日月型パーツにコットンの紐を通して留具にしている。本体を入れると、蓋の上部のスリットから突起が出る仕組みになっている。

3−4
「BAGS」天地112×左右85mm 2000年制作 32頁
19世紀末から20世紀はじめの優雅なバッグ26点を集めた、不等辺六角形のバッグ型の本。
● ピンクと白のオーストリッチ風型押牛革のツートンカラー。見返し櫛目型マーブル紙。
タイトルはステンレスの切り文字。白銀メッキの飾り付。白い革は、制作者のハンドバッグのリサイクル。

3−5
村上玄一「サーカス」天地85×左右63mm 2000年制作 32頁 「あわき夢の街トーキョー」所収
サーカスに生きる人々との交流によって知る、束の間の人生の哀感。
● 濃紺の牛革に、オリーブ色と辛子色のモザイク。タイトル艶消金箔押。口絵写真一葉入。
見返しフランス製マーブル紙。半円材を使った贋丸背。函は950銀。表裏にアーチ型と星の透かし入。
赤いトンボ玉が動く。函制作=高野裕紀

3−6
邑崎恵子(田中淑恵)「火の山の物語」天地86×左右63mm 2000年制作 28頁
「ペーパームーン」所載 「水絵具の村」所収
火山灰の降る夏の終わり。天彦と咲耶子は、物語となるために火の山に向かう。
● 挿絵一葉入。本体朱の総皮装。貝製の羽の形のパーツ付。半円材を使った贋丸背。
タイトル金箔押。見返し火の色の和紙。本文2色刷。

3−12
「CUPS」天地43×左右51mm 1996年制作 20頁
アンティークカップ16客を集めた本。
●表紙はワイン・レッドのスエードとカップとポットの模様の布との継表紙。見返しはラッピング・ペーパー。タイトル艶消金箔押。