| News | 2000年7月28日 04:00 PM 更新 |
米サンフランシスコで開催中の「Unwired Universe 2000」(U2)で米Phone.comのJeff Crollick氏は「当面の間,ほとんどのアプリケーションは14.4K〜28.8Kbpsで十分であり,384Kbpsは特定の用途でしか利用されないだろう」との見通しを語った。
IMT2000で採用される第3世代のワイヤレス通信技術(3G)は,2GHz帯を用いて移動時に最高384Kbps,静止時に2Mbpsの通信速度を実現する。しかし足回りが1セルあたり1.2Mbpsの帯域を持つとすれば,音声のみなら92ユーザー,14.4Kbpsのデータ通信で83ユーザー,28.8Kbpsのデータ通信では42ユーザーを1セルでサポートできるものの,384Kbpsのデータ通信では4ユーザー以下しか利用できない計算になる。
有限なスペクトラムを,データと音声で完全に共有していることに問題があり,ユーザーあたりが利用する帯域幅を考えれば,高帯域のワイヤレス通信は非常に高価なものになるだろうとCrollick氏は指摘する。また,一般的なインタラクティビティを持つアプリケーションサービスを利用するだけであれば,14.4K〜28.8Kbpsでも十分であり,なんでもかんでも広帯域化すればいいというわけではないと話した。
「3Gで広帯域が得られるのは事実だ。しかしユーザーが求めているのは優れたアプリケーションであって,広帯域そのものではない。アプリケーションが新しい端末の登場を促し,新しい端末が別のアプリケーションを生み出す。そして,そのアプリケーションが適切な必要帯域を決定するものだ」(Crollick氏)。つまり,高帯域をどのように使うかを考えるのではなく,ユーザーがどんなことをしたいのかを先に考えるべきであると説く。
これには,ワイヤレス技術開発ベンダーのクアルコムや,通信キャリアのAT&T Wireless Service(AT&T WS)も同意見だ。
クアルコムは,cdmaOneの技術を拡張する方が,コスト面や将来性でも有利だと主張する。というのも,スペクトラム全体をシェアするW-CDMAでは,高帯域を利用する際,音声通信を圧迫してしまうからだ。その代わり,1セルあたり最大で600数十Kbps程度のデータ専用帯域を設け,それ以上の帯域をデータ通信が侵さないようにするべきだという。
この際,データ通信帯域のデータは音声通信網とは別に直接インターネットへと流す。i-モードのようにゲートウェイサーバでインターネットトラフィックを分離する手法だと,帯域とユーザー数の拡大にサーバの能力が追いつかず,信頼性を確保するのが難しいからだ(i-モードの接続トラブルの大半がゲートウェイサーバによるものだといわれている)。
AT&T WSは,CDMA方式そのものの採用をみおくるという。3GといえばCDMAと思いがちだが,AT&T WSは2GHz帯を用いた高速通信であればTDMAでも3Gだと話す。AT&T WSは次世代携帯電話にEDGE方式を採用する。AT&T WSはNTTドコモのようにチャンネル数の不足という問題を抱えていないため,CDMAへの移行を急いでいないという理由もあるが,「ユーザーが現在,求めていない。将来も求めるかどうか不確定な技術を導入し,将来のためにユーザーに余分なコストを背負わせるのは正しくない」(ブース説明員)という理由も挙げた。
日本のauは,cdmaOneを拡張する形で当面の間,帯域拡張を行い,その後,IMT2000へと移行する予定だ。おそらく,この方法がもっとも現実的だろう。早期導入によるコスト高を避けることができ,既存ユーザーに対しては最高384Kbpsまでの通信速度も技術的には可能だからだ。また,現在のcdmaOneであれば技術的には800MHz帯でのサービスも可能である。
もちろん,NTTドコモが力で押し切る構図も十分に考えられる。しかし,W-CDMAは日本からの渡航者数がもっとも多い米国で国際ローミングを行うことができず(W-CDMA採用キャリアは欧州と日本のみ),国際戦略でうまく波にのれない可能性もある。3Gの戦略で何が正しいのか。その結果は数年後にしか分からないが,必ずしもNTTドコモが盤石というわけでもないようである。
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