News 2000年7月31日 09:00 PM 更新

“逆オークション”の米Priceline.com,ソフトバンクと合弁で日本進出

 航空チケットなどの“逆オークション”で有名な米Priceline.comが日本に進出する。同社は7月31日,ソフトバンクの100%子会社であるソフトバンク・イーコマースと合弁で「プライスライン・ドット・コム ジャパン」を設立すると発表した。新会社を9月までに立ち上げ,来春を目途に旅行関連商品から取り扱いを開始する方針だ。

 Priceline.comは,一般消費者が商品の希望価格を提示し,各企業が自社で提供できる価格を示して競り落とすという,いわゆる「逆オークション」のシステムを開発,1997年にビジネスモデル特許の先駆けとして認可を受けた。特に航空券やホテルなど旅行分野で強みを発揮しているが,最近になってガソリンや生鮮食品など,急速にその守備範囲を広げている。来日した米Priceline.comの会長兼CEO,Richard Braddock氏は,「われわれは前四半期で130万件の航空券をし,レジャー用途に限っては全米でナンバーワンになった。なぜこんなにパワフルか? といえば,売り手と買い手の両方にメリットがあるからだ」という。

米Priceline.comの会長兼CEO,Richard Braddock氏

 Priceline.comでは,消費者はまず,希望する商品情報および価格,クレジットカード番号などの個人情報をWebサイトから入力する。その後,提携各社が入札を開始,売買が成立した時点でクレジットカードによる決済が行われ,売買の成否が電子メールで消費者に知らされる仕組みだ。「定価以下のレベルで販売・購入ができるうえ,企業はその価格にどの程度の需要があるかを知ることもできる。しかも定価には影響ない」(Braddock氏)。

 新会社の資本金は9億6000万円。ソフトバンクが全額出資し,同時に米Priceline.comが同額分の転換社債を引き受ける。したがって,実質的には19億2000万円の資本を得る計算だ。同席したソフトバンクの孫正義社長は,「ソフトバンクとしては珍しい形式だが,これはPriceline.comのスタイルを踏襲したもの」と説明した。社長にはソフトバンク・イーコマースの宮内謙氏が就任する。

 なお,逆オークションおよびビジネスモデル特許に関しては,ZDNet HelpDeskの「How-to e-Business実践法律講座」を参照してほしい。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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