News 2000年8月4日 08:08 PM 更新

松下,ネット戦略推進に500億円投入

 松下電器産業は8月4日,デジタル放送やISP(インターネットサービスプロバイダ)事業強化に向けて,今後3年間で500億円の投資を行うと発表した。松下は今年6月末に,ネットワークビジネスを統括する「eネット事業本部」を設置。インターネットを通じて各種サービスを提供する「eプラットフォーム」の構築や,Hi-Hoの強化,IT関連ベンチャー企業の育成に取り組んでいる。

 松下ではeプラットフォームについて,「松下グループが保有するハードウェア,システム,サービスを統合し,消費者に新たなライフスタイルを提案するもの」と解説する。eネット事業本部の前川洋一郎氏によれば,「現在,社内では,白物(洗濯機や冷蔵庫といった家電),AV機器など,130種類以上の製品についてネット対応化の計画がある」という。とにかく全ての機器をネットに接続させ,相互にデータのやりとりをできるようにしようというのが,松下の eプラットフォーム構想だ。

 eプラットフォームで提供するサービスについては,松下,東芝,ソニーの3社が中心となって「eプラットフォーム設立準備会」を7月に設立。同準備会では,デジタルテレビ(DTV)を核に,モバイル機器やネット家電と連動したサービス検討しているという。しかしながら,「eプラットフォームは電機メーカーだけでは実現しない」(前川氏)という背景から,放送局やコンテンツプロバイダの参画も呼びかける方針。なおeプラットフォーム事業会社は,2000年末から2001年初旬にかけて事業会社となり,来年中にサービスを開始する予定だ。

 またHi-Hoについては,コンテンツの強化を図る。まず,ショッピングやニュース,ならびにネットワークゲームといったコンテンツを拡充するほか,ベンチャー企業と提携することで「質のいいコンテンツを調達する」という。Hi-Hoには現在,64万人の会員がいるが,松下では2001年3月までに100万人,2002年3月までに200万人に拡大させる。さらに松下は,社内外のベンチャー企業に対する数十億円規模の事業化ファンド「Panasonic e-Fund」を設立。優良なIT関連技術やコンテンツを持つベンチャー企業の囲い込みを狙う。

 現在,松下のネット関連事業における売り上げは100億円だが,2003年には10倍の1000億円に引き上げる計画だ。

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[中村琢磨, ITmedia]

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