News 2000年8月9日 11:17 PM 更新

航空大手3社,国内線チケット販売サイトを共同で開設へ

 日本航空(JAL),全日本空輸(ANA),日本エアシステム(JAS)は9日,国内線チケットの予約販売を行うサイトを共同で開設すると発表した。10月をめどにサイトを運営する共同出資会社を設立し,2001年4月にサービスを開始する予定。共同サイトでは,3社の運航ダイヤや予約状況,運賃を1つのサイトで比較検討した上でチケットを購入できるようになる。

 サイト名は「kokunaisen.com」(国内線ドッと混む)。運航ダイヤや空席状況,運賃の照会のほかチケットレス予約と販売,予約変更とキャンセル,払い戻しといった機能を提供する。普通運賃や往復割引などのチケットレス購入が可能な運賃が対象となる。利用には原則として会員登録が必要だが,登録せずにゲスト会員としての利用も可能にする方針。コールセンターも併せて設置し,電話での問い合わせにも答える。

 各社のチケット予約を1つのサイトに集約することで,運賃の比較やチケットの購入,キャンセルなど一連の手続きがワンストップでできるため,3社では「ユーザーの利便性が大きく向上する」としている。自社サイトを持つ旅行代理店やチケット販売業者に対しても,契約すればリンクによって利用可能にするなどオープンな仕組みになっているという。

 3社ではサービス開始に先立ち,「国内線航空会社共同WEB株式会社」(仮称)を都内に設立する。開業時の資本金は4億5000万円で,3社が均等に出資。社長は3社が持ち回りで派遣し,従業員は約20人を予定。3社では2001年度における取り扱い航空券の売上高として約100億円を見込む。サービス開始後5年以内に3社の国内線航空券売上の5%程度を扱いたい考えだ。

 航空会社によるチケットのネット予約・販売は各社が独自に取り組んでいるが,今後は大手3社の大同団結により,各社の運賃やダイヤを比較した上で利用できるようになる。ユーザーにとっても便利な上,3社が共同でサイトを開設することで,ITコストを抑えたいという考えもあるようだ。

 その一方,新規参入組の北海道国際航空(エアドゥ)やスカイマークエアラインズの2社は,現状ではチケットのネット販売には取り組んでおらず(スカイマークは予約のみ),大手3社の共同戦線でまた水をあけられることになる。一昨年,価格破壊を掲げて参入した2社に対し,今回同様に足並みそろえての露骨な値下げで対抗してきた大手3社。ユーザーの「利便性向上」を掲げるなら,共同サイトに新規参入組を積極的に迎えるほどの度量が欲しいところだ。

関連リンク
▼ 日本航空
▼ 全日空
▼ 日本エアシステム

[小林伸也, ITmedia]

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