News 2000年8月22日 10:59 PM 更新

IDFプレビュー,ついにDDR SDRAMのサポートに動くIntel

 8月22日からの3日間,開発者向け会議の「Intel Developers Forum 2000」(IDF)が開催される。IDFはかつて,Intel製プロセッサを利用する開発者に向けた純粋にPC分野に特化した催しだった。しかし,Intelの事業が拡大し,業界に対して強い影響力を持つようになった今,巨大なイベントに成長している。今回のIDFに登録したデベロッパーの数は5000人以上,報道陣は米国,欧州,アジアを合わせると500人に達するという。

 今回のIDFは,IA-64,IA-32,デスクトップPC,ノートPC,PCワークステーション,PCサーバの各プラットフォーム技術,Bluetooth,無線ネットワーキング,IXA(Internet eXchange Architecture)機器,セキュリティ技術,インターネットアプライアンスなどの話題に加え,P2Pコミュニケーションモデル,つまり「Napster」や「Gnutella」と同種のコミュニケーションモデルがもたらす,ビジネス環境などについてのトラックが新設された。

 Intelは,最近のIDFで,マイクロプロセッサの会社からインターネットのインフラに対してさまざまな構成要素を提供する会社への転身をアピールしてきた。実際の製品や話題性という意味では,まだまだマイクロプロセッサカンパニーの色が濃いものの,マーケティング方針の転換はIDFで扱うテーマの拡大につながっている。

 Intelは,各地域ごとにIDFを開催し,それぞれの地域性に適した内容を用意することを約束している。日本のIDFならば,低消費電力,電源管理,バッテリー技術,スモールフォームファクタなどにフォーカスした内容にするわけだ。これまで日本で行われた「IDF Japan」は,いずれも米国での内容を(多少のアップデートはあるものの)リピートする“ミニIDF USA”の感が強かったが,今後は多少,内容にも期待が持てるものになるかもしれない。

注目はPentium 4と次世代メモリ

 今回のIDFで目玉となりそうなテーマは,「Pentium 4」に関する情報のアップデートとメモリ戦略。そしてP2Pコミュニケーションモデルだ。

 Intelは,Pentium 4をインターネット向けの最高のプロセッサと位置付け,Pentium 4が採用するアーキテクチャを「NetBurstマイクロアーキテクチャ」と命名。486がWindowsを,P5がマルチメディアを,P6がビジュアルコンピューティングを実用的なものにしたのと同じように,Pentium 4がビジュアルなインターネットの世界を拓くとアピールする。

 同時にIntelは,Pentium 4向けの次世代メモリとして,DDR SDRAMを評価中であると明らかにした。これまでも,PC133メモリを2001年に投入するメインストリームPC向けチップセットでサポートすることを認めており,RDRAM一辺倒の強引なメモリ戦略からの転換を印象付けている。新メモリアーキテクチャの単なる評価であれば,こうしてマスコミに公表する必要はない。評価を行っているという宣言は,事実上,採用の方向で動いていると宣言したことに等しいと言えよう。

 インテルは,DDR SDRAMの評価はあくまでもメインストリームPC向けであり,パフォーマンスを重視する用途では,引き続きRDRAMを採用していくことを強調している。また,Pentium III向けには,今後もDDR SDRAM採用予定はない。しかし,ただでさえ高価なRDRAMが,出荷数の少ないハイエンド機のみのソリューションとなれば,メモリコスト低下のペースがさらに遅くなる可能性が強い。

 Napsterに代表されるP2Pコミュニケーションモデルを,インテルがどのように料理するかも注目される。P2Pコミュニケーションに対し,どのように秩序を埋め込み,ビジネスの道具として活用するのか。インテルの提案はまもなく開始されるIDFの中で語られる予定だ。

[本田雅一, ITmedia]

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