News 2000年8月28日 10:03 PM 更新

e-Businessの覇権を狙うIntel

Intelがe-Businessに関連する技術の標準化や開発を行う専任部署を設立,インターネット時代のスタンダードを狙う。

 あるテーマで8件,別のテーマでは4件,ダントツに多い36件のテーマ。これはいずれも,米カリフォルニア州サンノゼで開催された「Intel Developer Forum 2000」(IDF)で取り上げられた技術トラックのプレゼンテーション数だ。22のトラックのうち,Intelの要と思われるIA-64,IA-32のトラックが,冒頭で挙げた8件と4件。ダントツに多い36件のプレゼンテーション数を誇ったのがe-Businessである。

 Intelがインターネット企業としての色彩を強めているのは,改めて説明をするまでもない。前回のIDFでPaul Ottelini氏が提案した第3世代インターネットのプレゼンテーション以来,IntelはXMLベースのe-Businessアプリケーションの開発支援を行っている。

 IDF最終日の基調講演では,Intel副社長兼ジェネラルマネジャーのWilliam Swope氏が,さまざまなデータを挙げてIntelがe-Businessのエキスパートであることをアピールしていたが,その中で「Intel Solution Centers and Services」を立ち上げることを明らかにした。これは,e-Businessに関連する技術の標準化や開発,テスト,互換性検証,マーケティングを専門に行う部署である。


米Intelの副社長兼ジェネラルマネジャー,William Swope氏

 主要なアプリケーション,ツール,ハードウェアのベンダーと協力し,アプリケーションを最適化,統合を行い,インテルアーキテクチャ上での実証試験を行った上で,ソリューションプロバイダを通じてe-Businessを導入している企業にソリューションを提供するのがIntel Solution Centers and Servicesの役割だ。また,Intel Solution Centers and Servicesは,e-Homeソリューションの展開も行い,オフィスだけではなく家庭のインターネット環境整備も進めていく。

 これまで,Intelのネット戦略は各地域ごとにローカライズが進んでいないという印象があった。たとえば,インターネット接続のソリューションは地域ごとに異なる問題であり,インフラ整備のシナリオにはローカライズも必要になるわけだが,今回のプランでは日本にも同センターが設立される。日本向けに有効なソリューションが提供されることに期待したい。

 ところで,これらe-Businessに特化した戦略がこれほど多いのはなぜなのだろうか。Intelがいう1対1のカスタマリレーションや,ビジネスの動きに素早く追随できるXMLベースのシステム構築といったテーマは,Intelが“第3世代”を連呼するまでもなく,世の中では急速に動いている。

 Intelがこの分野でリーダーシップを取ろうとする根本的な動機は,同社が第3世代と呼ぶ新しいインターネットの時代で,Intelアーキテクチャのサーバおよびインターネットインフラ向け機器の価値を高めたいからだ。これまで“Wintel”といわれてきたように,MicrosoftとIntelは時に対立しながらも,一蓮托生の関係で業績を伸ばしてきた。しかし,インターネットの世界ではMicrosoftの影響力が以前ほど大きくはない。新しい時代でもIntelアーキテクチャがデファクトスタンダードであり続けるためには,e-Businessの技術基盤やノウハウを提供する会社としてのイメージを作れるか否かが,大きなポイントになるだろう。

[本田雅一, ITmedia]

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