News 2000年8月29日 09:24 PM 更新

ロペ,独自の動画配信用記述言語でコンテンツ配信ビジネスを開始

コンテンツ開発のロペは,独自に開発した記述言語「ICML」を利用し,動画配信ビジネスに参入する。

 ネットコンテンツ開発ベンチャーのロペは8月29日,動画配信用に同社が開発した記述言語「ICML」を利用したコンテンツ配信ビジネスを開始すると発表した。ICMLは既存のストリーミングムービーとHTMLコンテンツを自由に組み合わせて表示でき,動画と連動したECなどに活用できるという。同社ではコンテンツ企業と提携し,ICML技術を使った試験サービスを年内にも開始する予定だ。

 ICMLは「Intermedia Casting Markup Language」の略。同社取締役で慶應義塾大学院生の鼠屋将志氏が開発した。ICMLファイルは,ASF形式などの既存のストリーミングムービーと,テキストや画像を含むHTMLコンテンツの表示をコントロールする記述が含まれており,ムービー再生中にHTMLコンテンツを表示させるタイミングなどを詳しく指定することができるという。


ICMLを利用したコンテンツの例

 例えばドラマで,俳優が登場するたびにプロフィールを表示させたり,俳優が手帳を手に取るのと同時に手帳の広告を表示したりというように,動画とHTMLコンテンツの同期が自由に行える。また動画とHTMLコンテンツの表示レイアウトは配信側,受信者側とも好みに応じてコントロール可能な上,同一の動画に用意された複数のHTMLコンテンツをユーザーが選んで表示させる機能も備えている。

 ICML対応コンテンツを利用するには専用のブラウザが必要だが,将来的にはActiveXを利用してInternet Explorerで表示させる方法も考えているという。ネット配信だけでなくCD/DVD-ROMによる提供にも対応している。

 動画配信用の規格としては,12月にスタートするBSデジタル放送で使用される「BML」,米国のネット配信で採用が始まっている「SMIL」などがあるが,同社では「ディスクによる配信やレイアウトの柔軟さなどでICMLは優位性がある」としている。

 同社ではコンテンツを持つ企業と協力し,ICML技術を利用した配信サービスを立ち上げる。同社はICML技術や決済システム,サーバなどインフラ部分を提供し,コンテンツ提供企業から料金を徴収。提供企業はコンテンツ使用料やECでエンドユーザーから収益を得るという仕組みだ。試験サービス開始時には5社程度が参加する見込みで,最終的には数百社にまで増やしたい考えだ。

 同社は1997年設立のベンチャー企業。資本金は4000万円だが,9月にソフトバンク・インベストメントを引受先とする1億6000万円の第三者割当増資を実施する予定としている。

関連リンク
▼ ロペ

[小林伸也, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.