News 2000年8月29日 11:29 PM 更新

スピードネット,広域エリア実験の詳細

スピードネットが広域エリア実験のオープニングセレモニーを開催,IEEE 802.11に準拠した機器や接続デモを公開した。

 無線インターネット接続のスピードネットが,広域エリア実験(8月17日の記事を参照)のオープニングセレモニーを浦和市内のホテルで催した。会場には,同社がサービスに利用する機器が展示されたほか,実際にその機器を使ってインターネットに接続したデモ機も登場。1.3Mbps程度のスピードでWebアクセスを披露した。

 スピードネットが8月下旬から行う広域エリア実験は,埼玉県の浦和市,大宮市,与野市の一部地域を対象としている。この地域を選択した理由は,平坦な土地に低層住宅が密集しているため,通信環境が良好で,かつ需要が見込めること。スピードネットでは,こうした住宅地をサービスのターゲットとしており,本サービス開始後は「東京を中心に円を描くように,周囲のベッドタウンが対象になるのではないか」(スピードネットの常務兼CTO,馬場博幸氏)としている。「(基幹の)光ファイバーの対応を延ばしつつ,その周囲でサービスを提供する。CATVインターネットのように,地域を拡張することになるだろう」(馬場氏)。

 実験サービスでは,国道17号線と第2産業道路に挟まれた区域に約100基の基地局を設置,300世帯にサービスを提供する。モニターの募集は3回に分けて行うが,馬場氏によると,既に「Web経由で750件,FAXなどで約100件の申込が寄せられている」という。

当初はIEEE 802.11を使用

 今回の実験サービスに使用するのは,IEEE 802.11に準拠した無線システムだ。最大2Mbpsの帯域幅を持つが,複数のクライアントでシェアするため,実効スピードは650K〜1Mbps程度になる見込み。後から策定されたIEEE 802.11bが11Mbpsの帯域幅を持つことを考えると物足りない印象を受けるが,既存のCATVやADSLのスピードと比較すれば競争力はある。もちろん,ほかの通信インフラも高速化を進めているが,馬場氏によると,スピードネットのサービスも柔軟な対応が可能だという。「無線といってもモバイル用途に使用するものではないため,全インフラを一度にアップグレードする必要はない。後から始まった地域にはより新しい通信技術を導入することも可能だ」(馬場氏)。

 ただし,気になるサービス料金については,「競合を下回る価格設定」という従来からのコメントを繰り返すに止まり,今回も具体的な数字は出てこなかった。


スピードネットが実験サービスに使用する写真は基地局とアンテナ。


端末局とアンテナ。アンテナはポール状のものや平面タイプなど,いくつのバージョンが展示されており,メーカーもそれぞれ異なる。端末局は意外と小型で,インタフェースもアンテナケーブルのほか,DC,モニター端子,10BASE-T×1とシンプルだ。横に置いたライターと大きさを比較してほしい。


「端末局用シームレスケーブル」はフラットな同軸ケーブル。これを窓枠に這わせれば,壁に穴をあけることなく室内にケーブルを引き込むことができる。


スピードネット専用の接続・認識ソフト。今回はWindows版だけ展示されていたが,Mac版も登場する予定だ。IPアドレスはダイナミックに割り当てられる方式となり,ユーザーに割り当てられるのは基本的に1つだけ。なお,デモンストレーションは,セレモニー会場となったホテルの外にある電柱を使用し,実際に無線接続を行った。1.3Mbps前後のスピードが出ている。


工事の際に使われるチェッカー。同社の開発によるもので,基地局からの電波受信レベルをLEDで表示する。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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