News 2000年9月1日 08:35 PM 更新

国内ハンドヘルドデバイス市場予測,iモードの影響で一旦落ち込む?

 IDC Japanは9月1日,国内のスマートハンドヘルドデバイス市場動向と予測を発表した。これによると,1999年の出荷台数で対前年比4.9%増の131万6950台と堅調な伸びを示していた同市場だが,2000年にはiモードを中心とするフィーチャーフォンの爆発的な普及により,一旦落ち込むことが予測されるという。しかし,来年以降は回復基調に乗り,年間平均成長率24.7%で拡大,2004年には約4000万台を出荷する見通しだとしている。

 IDCでは,スマートハンドヘルドデバイスを3つの分野に分けて調査している。具体的には,PCを補完する「ハンドヘルドコンパニオン」,音声通話とデータ通信機能の両方を持つ「スマートフォン」,垂直市場向けの「バーティカルアプリケーションデバイス」だ。iモードやWAPの携帯電話は,コンテンツがサーバにあることからスマートフォンには分類せず,「フィーチャーフォン」として別市場扱いしている。

 ハンドヘルドコンパニオン市場は,1999年の総出荷台数が74万3500台と,対前年比23.6%という堅調な伸びを示した。なかでも,Windows CE搭載のハンドヘルドPCを中心とする「PCコンパニオン」(IDCによる分類)では,日立製作所が人気メーラ「PostPet」などコンシューマー向けのソフトウェアを導入したことにより,消費者の関心を集めることに成功。シェアトップを獲得した。IDCでは「コンシューマー主導の市場動向を的確に把握し,それに柔軟に対応したため」と分析している。一方,シャープのザウルスシリーズなど,PIM機能に重点をおいた「PDA」市場は,ほかのデバイスが大きく成長している影響を受けて縮小しているという。「活気を維持しているのはシャープだけで,そのほかのベンダーは,機をみてこの市場から撤退している」(IDC)という。

 スマートフォン市場は,1999年の出荷台数がわずかに20万台と,対前年比38.1%のマイナス成長だった。この理由についてIDCでは「転送プロトコルやセキュリティに関して業界の標準化が実現しなかったため」と指摘する。さらに,1999年第1四半期に登場したフィーチャーフォンが追い打ちをかける結果となり,2000年も引き続きマイナス成長を記録することが予想されている。しかし,「2001年に開始されるIMT-2000により,これまで以上に高機能なオールインワン携帯電話に対する需要が高まるだろう。スマートフォンは,2001年以降に再び脚光を浴び,2004年には200万台を超える出荷が見込まれる」(IDC)。

 バーティカルアプリケーションデバイス市場は,1999年の出荷台数が37万3450台で対前年比12.8%と堅調な伸びを示した。しかし,2000年はユーザーのリソースがほかの分野に向けられたため,一時的に成長が停滞する見通しだ。ただし,「営業戦力の自動化を進めているユーザー企業や部門が増加しており,2001年以降は需要が増大する」(IDC)という。

 スマートハンドヘルドデバイス市場全体では,2001年から2002年にかけて,各ベンダーがコンシューマーの関心を促すために製品の差別化が進み,市場全体が上向きになると予想されている。IDCは「今後,携帯電話を使用しないワイヤレスコミュニケーション機能,PC以外の製品に対するBluetoothの導入などによって,多くの人々がこの分野に注目する」としている。

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▼ IDC Japan

[芹澤隆徳, ITmedia]

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