News 2000年9月6日 06:05 PM 更新

未公開株プレゼントのイーブィネット,今度は懸賞金サイト

最高金額は1000万円という懸賞金サイトが登場した。未公開株プレゼントで話題になったイーブィネットが新事業として立ち上げたものだが……。

 昨年7月,音声メールサービス加入者に,未公開株をプレゼントすると発表して話題になったイーブィネット。そのイーブィネットが今度は,毎週当選者が出る懸賞金サイトを開設したという。

 サイトの名前は「ゲットだドットコム」(iモード版は「ゲットだi」)で,9月6日よりサービスを開始している。このサイトにはクイズ形式の広告が掲載されており,クイズに正解すると抽選券(宝くじのようなもの)が発行される。毎週木曜日には同サイト上で抽選会が実施され,当選金額は最大で1000万円だ。しかも,サービスを利用するには会員登録する必要があるが,費用は一切かからない。懸賞金は,広告売り上げから支出されるためだ。

 イーブィネットでは,ゲットだドットコムのビジネスモデルを「閲覧・回答保証型のネット広告事業」と説明する。つまり,広告を閲覧する見返りとして抽選券をタダで配ることでユーザーを惹きつけ,アンケートやクイズに回答させることで,広告主にとっては魅力的な広告媒体を提供しようという考えだ。クイズに正解した場合,1件につき広告主からイーブィネットに90円(iモード版は60円)が支払われる仕組みになっており,これがイーブィネットの収入となる。

 問題は,懸賞金として還元される広告の売り上げ規模だが,イーブィネットの佐々木秀征代表取締役は,「既に50社程度の出稿が決まっており,初年度は20億円を目指している」と強調。「会員が増えれば増えるほど,広告収入が増える。(広告収入が増えれば)その分,賞金総額も増やす」(同社長)

 ただ,賞金総額・本数は会員が閲覧した(クイズに正解した)広告の数に連動しているため,必ずしも毎週1000万円の当たりくじが出るわけではない。佐々木社長は,「10万会員いれば,コンスタントに1000万円の懸賞金を出せる」と話すが,10万会員の獲得は短期間でできるものではなく,たとえ達成しても1000万円が当たる確率は10万分の1にすぎない。

 ちなみに,ゲットだドットコムでは現在,サービス開始キャンペーンを行っており,10月24日の第1回抽選会では広告売り上げ規模にかかわらず,最高金額の1000万円を提供するという。1円も払わないで(プロバイダ接続料と通信料は別)1000万円を手にするチャンスが少なかれあるのだから,一般ユーザーにとって,非常にインパクトのあるサービスであることは間違いない。

ところで未公開株は?

 ところで,イーブィネットといえば,気になることが1つある。未公開株のその後についてだ。昨年12月の記事で触れたが,イーブィネットは昨年11月にMTCIの出資(18%)を受け入れたため,株券プレゼントを中止(MTCIが保有していたイーブィネット株は,8月末に未来証券が買い取っている)。既に会員に配布された疑似株券も,どうやらただの紙くずになってしまったもようだ。

 また音声メールサービスについては,数万人いた利用者も1000人程度に減少し,佐々木社長も「あの戦略は失敗だった」と認める。未公開株(の疑似株券)を手にしてキャピタルゲインを期待していた人も少なくないはずだが,今回の1000万円プレゼントは,話を打ち上げただけで終わらないことを期待したい。


「未公開株の次は懸賞金」と意気込む佐々木社長(中央)

 そういえば佐々木社長は,懸賞金プレゼントを行うにあたり「公正取引委員会に確認した」ことを強調していた。未公開株プレゼントの時もそうだったが,イーブィネットはどうも公正取引委員会と縁があるようだ。

関連記事
▼ 未公開株プレゼントします――イーブィネットのその後

関連リンク
▼ ゲットだドットコム
▼ イーブィネット

[中村琢磨, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.