News 2000年9月13日 08:23 PM 更新

プリンスホテルの客室で高速常時接続サービス

 プリンスホテルは10月から,客室で高速インターネットの常時接続を利用できるサービスを始める。まず都内のプリンスを中心に導入し,将来的には全国の都市部のプリンスに広げていく。サービスの実施主体は,ホスピタリティ産業向けにネット接続サービスを提供しているインター・タッチジャパン。スリーコムのネットワーク技術を活用し,一般の構内回線で10Mbpsの高速接続を実現したという。

 サービス料金は1室1日当たり1500円。室内に設けられたEthernetポートに宿泊客のPCを接続し,ブラウザを起動すればネットに接続できるという。接続スピードは上り下りとも10Mbps。ノートPC向けにEthernetカードの貸し出しサービスも行う。

 10月初旬に東京プリンス全484室中の300室でサービスをスタート。年内に品川,六本木,幕張,横須賀の各プリンスに範囲を拡大,順次全国に導入していく方針だ。同社では宿泊者の5%程度がネット接続を利用すると見込んでおり,「ネット接続という付加価値で他ホテルとの差別化ができる」(プリンスホテル)。今後は宴会場や会議室でも接続環境を導入していく考えだ。

 サービスを実施するインター・タッチジャパンは,オーストラリアのinter-touchが5月に設立した日本法人。inter-touchは,ホテルやコンベンションセンターなどの訪問者がネット接続を利用できるようにする「VBN」(Visitor Based Network)と呼ばれるシステムの専門プロバイダー。同社のサービスは,アジア太平洋各国を中心にホテル3万5000室,37の空港ラウンジで採用されているという。

 同社のビジネスモデルは「酒屋の軒下に自動販売機を置くのと同じ」(インター・タッチジャパンの吉崎夏来社長)。ホテル内の設備や工事費はすべて同社が負担し,ホテルは接続料の一部を受け取る仕組みだ。今回のサービスでは,プリンスホテルは接続料の1割を受け取り,設備費用などは負担しない。

 ネットワークには米3Comが今年6月に発表した,構内電話回線でEthernetベースのネット接続を可能にする技術「Ethernet-over-symmmetric Very high-bit-rate DSL」を活用する。スリーコムジャパンがアクセスポイントなどのハードウェアを提供し,メンテナンスやユーザーサポートはインター・タッチが行う。

 インター・タッチとスリーコムでは,全国のホテル客室合計約59万室の半分がネット接続に対応していくと見ており,国内の各ホテルに対し営業活動を強化していく。

関連リンク
▼ プリンスホテル
▼ インター・タッチジャパン
▼ スリーコムジャパン

[小林伸也, ITmedia]

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