News 2000年9月20日 09:04 PM 更新

エー・アイ・ソフト,個人向けASP事業に参入

エー・アイ・ソフトは12月,デジタル画像アルバムや家計簿機能をネットで提供するASP事業を開始する。ブロードバンド時代を見据え,ソフト会社のASP的な動きが相次いでいる。

 エー・アイ・ソフトは9月20日,コンシューマー向けASPサービスを12月に開始すると発表した。当面はデジタル写真やPC関連ユーティリティ,家計簿といった同社の既存ソフトを生かした無料サービスが中心だが,将来は有料サービスを開始し,2002年度にユーザー数300万人を目指す。またパッケージソフトにASPとの連携機能を加え,パッケージの拡販にもつなげる。ASPシステムそのもののライセンス提供も行い,同社の大きな収益源に成長させる方針だ。


ai2you.comのトップページ

 サービス名称は「ai2you.com」(アイトゥーユードットコム)。デジタルグッズやPCの活用支援と,生活支援の2つを大きな柱とする。

 デジタルグッズ活用支援では当初,デジタルカメラやDVで撮影した静止画をネットにアップロードできるサービス「フォト・ムービー」,PCのシステム診断をオンラインで行う「PC快適化」の2サービスが用意される。

 生活支援では,家計の収支などを入力すると家計状況を診断してくれる「FP21」と,交通費や買い物代金などをネット接続対応携帯電話で入力し,Webで明細一覧を表示するサービスを予定している。また今後,掲示板に自動翻訳機能を付加するサービスなども追加されていくという。

 サービスはWebブラウザで利用できるが,同社が10月に発売するパッケージソフト「デジカメde!!同時プリント4年賀状パック」と「うっかりママの家計簿5」にASPサービスとの連携機能を搭載。デジカメde!!同時プリント4では画像のダイレクトアップロード機能を搭載するなど,「ブラウザ上では面倒な操作が連携ソフトを利用することで簡単になる」(同社)という。

 サービスは当面は無料だが,「将来の機能拡充でパッケージソフトと機能が重複するようになれば,その分については有料化していく」(同社の北沢昇社長)。有料サービスの時期や料金体系は未定としている。

 同社ではASPサービスの開始に伴い,パートナービジネスを強化していく。画像やPC関連情報といったコンテンツを持つ出版社などとの提携に加え,ほかのソフト会社のソフトをai2you.comの機能として追加することも視野に入れている。またASPシステム自体のライセンス提供も積極的に進めていく。

今後はJava化を進め,PDAや携帯電話などPC以外のプラットフォームにも対応させる。その上で3年後をめどにパッケージソフトの全機能をASPで提供可能にする方針。ただ「パッケージソフトの需要は今後も残る」(北沢社長)と見ており,ai2you.comとASP対応パッケージソフトとの相乗効果を狙う。

 同社の1999年度の売り上げは約25億円。ASPサービスの開始でパッケージソフト依存から抜け出し,ASPサービスとASPシステムのライセンス提供を,それぞれパッケージ販売と並ぶ収益源に育て上げたい考え。2002年度に全体の売上を100億円に拡大する計画で,うち6割強をASP関連事業から見込んでいる。

 エー・アイ・ソフトの北沢社長は「自社のパッケージソフトは大きな財産。この強みを生かしてネットビジネスを展開していく」と述べ,ソフト会社としてのネット戦略を明らかにした。ソフト業界では,ジャストシステムが今年6月,グループウェアや表計算ソフトなどをネットで提供するサービスへの参入を発表(6月5日の記事参照)。またメッツは自社のパッケージソフト販売をネットに移行,ソフトのASPサービスを視野に入れた戦略も明らかにしている(5月31日の記事参照。米Microsoftもパッケージからネット主体への転換を打ち出した「.NET」を始動させるなど,ブロードバンド時代を見据えたこうした動きが今後も続きそうだ。

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[小林伸也, ITmedia]

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