News 2000年9月21日 07:55 PM 更新

アスキー,雑誌付録CD-ROMでソフトウェアを販売

 アスキーは9月21日,雑誌媒体を利用したソフトウェアの流通システム「Digital ASCII Try & Buy Shop」を発表した。このシステムは,コンピュータ雑誌などに付属するCD-ROMにソフトウェアの体験版を収録し,インターネット経由でライセンスキーを購入すれば,製品版として利用できるというもの。メーカーのパッケージソフトを,シェアウェアのように流通させようという試みだ。現在,ソフトの販売方法としてはダウンロード型が台頭しつつあるが,アスキーでは「時期尚早」と見る。

 Digital ASCII Try & Buy Shopでは,ライセンスシステムに米Preview Systemが開発した「ZipLock」を採用。国内では,ベクターがソフトウェアのダウンロード販売に利用している。ライセンスキーの有効回数は,任意で設定することができるが,アスキーでは5回ぐらいが適当だと見る。「米国では2回が主流だが, ソフトを再インストールする場合のことも考えて,このくらいがちょうどいいのではないかと判断した」(ネットメディア事業部マーケティング部新規事業担当の川島清史氏)

 収録されるソフトウェアには当初,アスキーのネットメディア事業部で取り扱っているマクロメディア,コネクティクス,リアルネットワークス,ならびにMOVAなどを予定。順次,そのほかのメーカーへ拡大させる計画だという。なお,第1弾として提供されるのは,アスキーが開発したチップス集「Excel 200の鉄人マスターSE」ならびに「Outlook 2000の鉄人マスターSE」の2種類で,「アスキー.PC」の11月号に収録される。

 「Try & Buy Shopでは,ソフトメーカーにとっては,流通コストや在庫コストを削減できるメリットがあるほか,雑誌の特性にあった製品をバンドルすることで,的確な製品頒布が可能になる。なにより,ユーザーは長時間かけてソフトをダウンロードする必要がない」(取締役ネットメディア事業部長の松田辰夫氏)。

 さらに,アスキーでは,Digital ASCII Try & Buy Shopを同社以外の出版社にも拡大させる方針。このシステムでは,出版社は小売店という位置付けにあり,ライセンスキーの販売本数に応じて,アスキーから手数料が支払われる仕組みになっている。

 ソフトウェアの販売形態は,依然として店頭販売が主流だが,ソフトベンダーのメッツは店頭から撤退し,全面的にダウンロード販売に移行している(5月31日の記事参照)。メッツのような極端な例は珍しいが,川島氏も,「いずれはダウンロード販売が主流になってくるだろう」と認める。ただ,「現在の一般家庭の接続環境を考えると,ベストとは言えない。CD/DVD-ROMメディアを利用するTry & Buy Shopは,現時点で最適なソリューション」(同氏)とコメント。今後5年間は通用するビジネスモデルだとしている。

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[中村琢磨, ITmedia]

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