News 2000年9月21日 08:34 PM 更新

富士通とMS,Windowsベースの基幹系システム普及でグローバルに提携

富士通と米Microsoftは,Windows 2000ベースの企業向けシステム普及で提携する。UNIXの牙城に挑むMSの提携戦略の一環だ。

 富士通と米Microsoftは9月21日,Windowsをベースとした基幹系システムの普及に向け,グローバルな提携を結んだと発表した。富士通は10月に「Windows プラットフォームセンター」を社内に設置し,Windows 2000ベースのシステム設計と検証を行う。また富士通のミドルウェア製品とMicrosoft製品との技術連携を強化。製品の開発とプロモーションも共同で行う。当面は国内市場が対象だが,欧米やアジアにおける富士通の関連会社を通じて世界市場でも同様の取り組みを展開していく考えだ。


提携を発表する富士通の秋草社長(左)とMicrosoft社長兼CEOのBallmer氏

 Windows プラットフォームセンターは10月1日,富士通ソフトウェア事業本部に設立される。初年度はSEなど100人を配置し,3年後には倍の200人に拡大する。富士通はメインフレーム事業で得たノウハウを生かし,自社のハードやミドルウェア製品と,MicrosoftのWindows 2000や今後リリース予定の「Microsoft .NET Enterprise Server」を組み合わせた基幹業務系システムの設計と適用検証を行っていく。富士通では,今後3年間で850件のリファレンスを構築するとしている。

 また,Microsoft製品の開発にも富士通の技術者が参加し,特に富士通が得意とするCOBOL関連ミドルウェアと「.NET」との技術的な連携を強化していく。インタフェースで相互接続するレベルから,さらに踏み込んでMicorosft製品に富士通の製品を組み込むことも考えているという。開発協力に加え,製品プロモーションも共同で行う方針だ。またハイエンドIA-32サーバや次世代IA-64サーバプラットフォームでの販売推進体制も強化する。

 富士通ではこの提携により,ハードとソフト,サポートまで含めた企業向けWindows関連事業を,3年後に現在の2倍以上に拡大させたい考え。またWindowsベースのIAサーバ市場で国内トップシェアを目指す。

 国内市場に続き,順次海外でも同様の事業を展開する計画だ。米国では米Amdahl,欧州では独Siemensとの合弁会社であるFujitsu Siemens Computersなど,富士通の海外関連会社を通じて行う方針だ。

 都内で開かれた提携発表会には,来日したMicrosoft社長兼CEOのSteve Ballmer氏が出席した。Ballmer氏は「企業向け顧客は総合的なソリューションを求めている。この分野において,富士通に匹敵する会社は見当たらない」と述べ,富士通がハードからミドルウェア,サポートまで一貫した供給力を持っている点を高く評価した。

また富士通の秋草直之社長は,「Windows 2000は非常に安定したいい製品だと位置付けている。PCの分野ではMicrosoftとの長期のコラボレーションがあるが,企業向けに優れたソリューションを提供するため,より密な関係で取り組んでいくことにした」と語った。

 基幹系システムではメインフレームとUNIXの天下が続いているが,Ballmer氏が「企業向けWindowsシステムの売り上げは,既に40億ドル規模のビジネスであり,年間35%成長している」と胸を張るように,徐々にWindows NT/2000も浸透し始めている。Microsoftは「Windows 2000 Datacenter Server」や.NET Enterpirise Serverといった新製品で基幹系システム市場のてこ入れを狙っており,データセンター分野で米Unysis,またWindows 2000ベースのシステムで日立製作所と提携するなど(6月15日の記事参照),ベンダー各社との連携を進めている。

 富士通側では「われわれは特定ベンダー製品のサプライヤーではない。顧客が望む製品を提供していく」(秋草社長)とし,メインフレーム事業は継続しつつ,顧客からの要望も増えてきたWindows/IAシステムとの2本立てで柔軟にニーズに応じるという,したたかな狙いがある。

 この点について秋草社長は,「WindowsかUNIXかという議論には意味がなく,両者は顧客の要望に合わせて共存していくだろう。Windowsだけになったらつまらないでしょう」とコメント。これにBallmer氏は「いや,私は構いませんが」と応じて笑いを誘った。またBallmer氏は米IBMが基幹系システムへのLinux実装を進めている点について,「Linuxにはサポートもない。IBMのLinux戦略は理解しがたい」と警戒心をあらわにしていた。

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[小林伸也, ITmedia]

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