News | 2000年9月27日 10:58 PM 更新 |
米Lotus Developmentは,昨年から同社が掲げているナレッジマネジメント製品のプロジェクト「Raven」に基づく製品として,ナレッジポータル作成ツールの「K-Station」を,独ベルリンで開催中の「Lotusphere Europe 2000」で発表した。K-Stationは,企業内で使われるさまざまなメッセージ,コラボレーション,知識共有のアプリケーションを統合するWebアプリケーションを作成するツール。Ravenプロジェクトのうち,フロントエンドをサポートするためのツールである。
K-Stationは,リアルタイムコミュニケーション環境の新バージョン「Sametime 2.0」と,ポータルサイト構築ツールの「QuickPlace 2.0」(日本語版未発表,年内発表予定)を含むパッケージで,「Domino」もしくは「WebSphere」上にナレッジポータルを作ることができる。
K-Stationでは,Dominoのメールやスケジュール,掲示板,Sametimeのディレクトリやビデオチャット画面,Domino.Docの文書管理画面,Dominoワークフローによるワークフローアプリケーションなどに加え,ExchangeサーバのメールボックスやそのほかのWebサイトをコンポーネントとして,ユーザー自身が容易に自分だけの情報集約画面を作成することができる。このほか,ローカルディスクの内容や普段利用するパーソナルなツール類をレイアウトすることも可能だ。
|
K-Stationで作成したナレッジポータル。Exchangeサーバのメールボックスも統合できる |
K-Stationは,ロータス版のデジタルダッシュボード作成ツールと言えるかもしれない。Lotusはこれを「ブラウザを万能クライアントにする製品」と紹介する。ポータルのカスタマイズも,コンポーネントを選択し,ドラッグ&ドロップで簡単にレイアウトできるため,ユーザーレベルで自由にポータル画面を操ることができる。
Lotusの社長兼CEO,Al Zollar氏は「ナレッジ・トランスペアレンシー」という新しいキーワードを掲げ,Ravenが実現する知識管理アプリケーションの世界を説明する。つまり,あらゆる知識情報を,どんな場所,どんなデバイスからでも区別なく取り出したり,あるいは別の誰かに送り込むといったことだ。
Zollar氏は,上着に複数の携帯電話,ページャ,PDAを身につけて登場し,現在の少々混乱したモバイル情報機器環境に触れ,これらを統合するための情報ソリューションの必要性を訴える。情報に対して透過的にアクセスできれば,たくさんの同じようなデバイスを持ち歩き,管理する必要はない。
|
おどけた様子でスーツの中を見せるゾラー氏 |
Zollar氏は,映画「Matrix」で,ヒロインが戦闘ヘリコプターの操縦方法を電話で問い合わせ,脳に直接情報が送り込まれる場面を見せ,携帯電話からでも必要なナレッジを自由に取り出せるようになると話したが,その一翼をSametime 2.0が担うことになる。
Sametime 2.0では,動画によるコミュニケーションをサポートしたほか,WAP機能付きGSM携帯電話のインスタントメッセージング機能との連携を実現。Sametimeのディレクトリに,ユーザーが利用している携帯電話の電波状況が表示され,着信可能な状態であればSametimeのチャット画面を用いて文字メッセージを送信できる。
これにより,単にWAP端末からのアクセスをDominoでサポートするといった静的な携帯電話サポートだけではなく,リアルタイムコミュニケーションを連携させたアプリケーションの世界を拓くことが可能になる。
日本の場合,ショートメッセージ機能は各社独自に実装されており,WAP端末向けだからといって,日本のau端末などに応用できるわけではなさそうだ。しかし,記者からの質問に答える形でZollar氏は「i-modeにはもちろん対応する」と話した。
このほか,Sametime 2.0にはチャットメッセージのリアルタイム翻訳機能も実装される。14の言語をサポートし,母国語の異なるユーザー同士がスムースなコミュニケーションを行うことを助けることになりそうだ。なお,基調講演の中では日本語が例として取り上げられていたが,日本語翻訳のサポートについては「対応の方向で開発を進めている」(Zollar氏)ものの,歯切れの良い答えは得られていない。
Sametime 2.0とK-Stationは,第4四半期に米国市場向けに出荷を開始する予定。QuickPlace 2.0は既に出荷済み。それぞれの日本語版はSametimeが英語版の出荷からまもなく,K-Stationは未定,QuickPlace 2.0は年末の発表を予定している。
関連リンク
Lotus Development
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.