News 2000年10月3日 10:33 PM 更新

今年は日本も“eクリスマス”か,Toysrus.comが日本に上陸

米Toysrus.comが日本法人を設立し,クリスマス商戦に合わせて玩具のオンライン販売を開始する。

 米Toysrus.comは10月3日,日本法人「トイザらス・ドット・コム・ジャパン」を設立し,国内で玩具のオンライン販売を開始すると発表した。クリスマスシーズン前の本格サービス開始を目指す。新会社には同社と日本トイザらスのほか,ソフトバンク・イーコマース,日本マクドナルドが出資者として参加する。事業開始に当たっては,全国に約100店あるトイザらスのブランド力を生かしていくが,ECで得た顧客データを実店舗のプロモーションにも活用するなど,バーチャルとリアルの相乗効果も期待している。


左から,日本マクドナルドの藤田田社長,Toysrus.comのCEOであるBarbour氏,日本トイザらスの田崎学社長,ソフトバンク・イーコマースの宮内謙社長

 トイザらス・ドット・コム・ジャパンは10月中に,川崎市内の日本トイザらス本社内オフィスに設立される予定。資本金5億5000万円の出資比率は,米本社が過半となる55%,日本トイザらスが26%,ソフトバンク・イーコマースが14%,日本マクドナルドが5%。社長には米本社CEOのJohn Barbour氏が就任,代表取締役を日本トイザらスの田崎学社長が兼任する。また出資各社の社長が役員として経営に参加する方針。今後の売上目標は明らかにしていない。

 サービス開始時期は確定していないが,クリスマスには間に合わせる。当初の販売品目はこれまで人気商品として実績がある約2000点に絞り込む。WebサイトにはNTTソフトウェアが協力。玩具を検索できるサーチエンジンや,ギフト向けにラッピングやメッセージカードを好みで選べるサービスも用意する。代金決済は,クレジットカードや代金引換,コンビニ店頭での支払いに加え,同社が発行する商品券も利用可能という。配達はヤマト運輸などが担当する。

 Toysrus.comは,米国最大の玩具小売りチェーンであるToys"R"usのオンラインを販売担当する子会社。昨年末のホリデーシーズンは,サーバの過負荷とサプライチェーンの失敗が重なり,受注した商品の配達が間に合わないなどのトラブルを起こした(1月13日の記事参照)。だがBarbour氏が「今年の売上は既に昨年の数倍に達している」と自信を見せるように,先行する米eToysを急追している。

 その基盤となっているのが実店舗で築いたブランド力だ。日本でも,まずは実店舗の利用客を対象にECサービスを提供する考え。ECで得た顧客情報や販売傾向はマーケティングデータとして蓄積し,実店舗の売上増加にも役立てる。例えば「横浜店でガンダムのフェアを開く場合,近くに住むユーザーにメールで知らせる」(Barbour氏)といった活用を考えているという。またオンラインで購入した商品を実店舗で返品できるようにするなど,顧客サービスの向上にも利用する。

 発表会でBarbour氏は,「日本国内では約100店舗を出店しているが,それでも自宅から遠くて利用してもらえない人たちに,トイザらスの良さを体験してもらう機会になる」とオンライン販売のメリットを強調。またToys"R"usの国内出店実現の立て役者でもある日本マクドナルドの藤田田社長は,「EC会社は雲霞のごとく存在しているが,誰が残るかは分からない。Toysrus.comはECの中でももっとも成功したECにしたい」などと語った。

 米国では一昨年のホリデーシーズンをきっかけにBtoC(企業-消費者間)のECがブレイク。日本でもインターネットの普及に伴い,オンラインショッピングの習慣も浸透しつつあり,今年の年末商戦に期待が集まっている。米国ECの主役クラスが日本に上陸したことで,“eクリスマス”が日本でも実現するかもしれない。

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[小林伸也, ITmedia]

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