News 2000年10月20日 09:50 PM 更新

Intel,モバイルPIII/1GHzを来年前半に投入へ

米Intel副社長のGelsinger氏が,WORLD PC EXPO会場でモバイルプロセッサについて説明。「来年に1GHzと1ボルトの壁を破る」と語った。

 「WORLD PC EXPO 2000」開催中の10月20日,来日している米Intelの副社長兼アーキテクチャ事業本部CTO,Pat Gelsinger氏が会場でプレスカンファレンスを開いた。Gelsinger氏はモバイルプロセッサのロードマップを公表し,来年前半にも1GHz動作のモバイルPentium IIIを市場に投入することを明らかにした。


Intelモバイルプロセッサのロードマップ

 最初のモバイルPentium III/1GHzは,現時点と同じ0.18μメートルプロセスのCoppermineコアのままで登場する。動作電圧は1.7ボルト,消費電力は1.5ワット以下と現在のモバイルPentium IIIと同程度になる。

 だが「来年はモバイルプロセッサにとってエキサイティングな年になる」(Gelsinger氏)。2001年半ば以降に,製造プロセスを0.13μメートルにシュリンク,電力消費の少ない高クロックモバイルプロセッサを発表できるという。

 プロセスルールの変更に伴い,動作電圧1ボルトを下回る超低電圧版モバイルプロセッサをリリースする。さらに低電圧版モバイルPentium IIIも来年中に750MHzまでクロックを向上させる考えだ。

 しかしチップセットについては,ロードマップでは通常版が440BX,低電圧版と超低電圧版が440MXとなることが示されているだけ。モバイル向け新チップセットについてGelsinger氏は,「来年には新製品を発表する」と述べるにとどまった。

 だがプロセッサの消費電力を下げても,液晶ディスプレイとドライブの低電力化を同時に進めなければノートPCのバッテリー効率は向上しない。Gelsinger氏はこの点について,「他業種とも協力して低消費電力化を進めていく」と述べた。モバイルPCはデスクトップPC以上に急速に普及すると見て,今後はBluetoothや無線LANといったワイヤレス技術にも力を入れていくという。


「IntelはすべてのノートPC向けプロセッサでもパフォーマンスリーダーだ」と語るGelsinger氏
 Gelsinger氏の説明は,今月米国で開かれた「Microprocessor Forum」でIntelが明らかにしていた内容とほぼ同じ(10月12日の記事参照)。とはいえ,米TransmetaのCrusoe搭載ノートPCが世界に先駆けて一斉に披露されたWORLD PC EXPO会場で,Intelのトップがモバイルプロセッサ戦略についてカンファレンスを開いた点は見過ごせない。「来年には1GHzと1ボルトの壁を突破する」と意気軒昂のGelsinger氏だったが,カンファレンス中にCrusoeに触れることは全くなかった。

関連記事
▼ Intel,新モバイルPIIIで「Crusoe対策」
▼ Intel,モバイルチップのロードマップ披露
▼ WORLD PC EXPO 2000特集ページ

関連リンク
▼ インテル

[小林伸也, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.