News 2000年10月31日 10:34 PM 更新

中国市場の可能性をアピールしたTurboLinux社長

LinuxWorldの基調講演でTurboLinux社長のPaul Thomas氏は,Linuxビジネスは中国で花開くと強調した。

 東京ファッションタウン(TFT)で開幕した「LinuxWorld Conference & Demo/Tokyo 2000」において,「“The Future of Linux” Linux 'Business' Worldの今後をどう見るか?」と題した基調講演を行った米Turbo Linux社長兼CEO(最高経営責任者)のPaul Thomas氏は,今後のLinuxビジネスの展開について,「中国やインドなどがターゲットとなる」と強調した。同氏が中国に大きな期待を抱くのは,「既にWindowsベースのITインフラが確立されている日本や米国ではLinuxへのリプレースがなかなか進まない」(同氏)という現実的な問題に直面しているためだ。


米Turbo Linux社長兼CEOのPaul Thomas氏

 「中国では,Windowsがサラリーマンの1カ月分の給料に相当する。Linuxは,製品が低価格なことだけではなく,過度なスペックを必要としないことから大きな支持を獲得している」(Thomas氏)

 今年1月,中国の新聞社が,「中国政府は,Windowsから,Red Flag-Linux(赤旗Linux)という国営シンクタンクが開発中の新ディストリビューションへのリプレースを奨励している」と報じた(1月7日の記事参照)。また,TurboLinuxは,同社のLinuxディストリビューションがWindows 98の販売実績を上回った(1月17日の記事参照)ことについて,「Linuxは中国政府の支持を受けている」(同社)とコメントしている。中国がWindowsからのリプレース需要を狙うにはベストの市場であることは確実だろう。

 そしてTurbo Linuxは既に,中国市場で大きなアドバンテージを握っている。Thomas氏は暗に,「中国を制すもの(Turbo Linux)は,Linuxビジネスを制す」とアピールしたかったようだ。

 基調講演を行ったThomas氏は今年6月,創設者であるCliff Miller氏に代わってCEOに就任した。Cliff氏退任の理由は明確には語られていないが,「株式公開(IPO)を延期してから,外部資本を受け入れるようになった。交代の理由は投資家からの要求によるもので,経営手腕を買われてThomas氏に決定した」(情報筋)というのが一般的な説となっている。

 Thomas氏は講演の中で,そのIPOの話題にも触れ,「RedHatやVA Linuxなど,多くのLinux企業が株式公開を果たしたが,現在株価は公開時の価格を割り込んでいるのがほとんど。投資家は目を覚ましたのだ」とIPO延期が結果的に良い方向に転んだとアピールしたが,同社の新たなIPOスケジュールについては最後まで触れずじまいだった。

関連リンク
▼ LinuxWorld Conference & Demo/Tokyo 2000
▼ ターボリナックス ジャパン

[中村琢磨, ITmedia]

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