News 2000年10月31日 09:37 PM 更新

IT革命は“iモード”と“Tモード”,PCは除外?

松下電器産業の中村邦夫社長がTBSの放送技術展示会「Madia Parade2000」で講演。ポストPCはケータイとデジタルTVであり,デジタルTVによる「Tモード」革命が起こるとした。

 TBSの放送技術展示会「Madia Parade2000」が10月31日に開幕した。初日のゲスト基調講演を担当した松下電器産業の中村邦夫社長は,集まった放送関係者たちを前に,放送の進化とデジタルTVによる「Tモード」革命を紹介。Tモードとは,ネットワークやデジタル放送を通じて「家庭と社会インフラの窓口になる」(中村氏)進化したTVのことだ。放送業界向けの講演という場所を考慮してか,同氏は盛んにPCを引き合いに出し,TVの使いやすさと可能性を訴えた。

 成長のピークはとうに過ぎたとはいえ,TVは家庭にすっかり浸透し,現在でも年間13億台が出荷されている。これに対してPCの出荷台数は未だ3億台と,その市場規模には大きな差がある。中村氏はこの数字を挙げ,エレクトロニクス業界全体に占めるTVの重要性を強調。その地位は将来も不動だとした。「ポストTVはTVだ。ポストPCはケータイとデジタルTVだ」(中村氏)。

 放送のデジタル化と通信のブロードバンド化が両者の融合を進め,家庭内の情報端末としてTVの重要性は高まる。メールやコンテンツのダウンロード,商品のデリバリー,そしてセキュリティ情報など,多くの社会インフラにTVからアクセスできるようになる時代も間近だ。そこで活躍するTVは,ユーザーにやさしいインタフェースを持ち,リモコンを使ってメールを打つことも可能になるという。中村氏はこうした進化したTVを「eTV」と呼ぶ。

 また中村氏は,松下電器産業が携帯電話のように数字キーで文章を入力できるTVのリモコンを開発中だと明らかにした。「iモードは,携帯電話を入力機器に変えた。TVも親指・片手入力でサービスを受けられるようになる。IT革命は,iモード・Tモード革命だ」。

 そのTモード革命を進めるために必要なのは,新しいインフラとコンテンツだ。松下はホームゲートウェイを中心にホームネットワークを構築する「eHII」(従来のHIIの進化版:Home Inforomation Infrastructure)を提唱しているほか,10月23日には東芝,ソニー,日立製作所などとともに蓄積型データ放送サービスや双方向サービスを実現するための企画会社「イー・ピー・エフ・ネット」の設立を発表。さらに,サービス面では昨年12月にTBSやNTTグループと合弁で「トマデジ」(1999年11月15日の記事を参照)を設立している。これらは皆,2005年には7兆円規模になると言われるEC分野において,TVを主役にするための布石だ。ブロードバンド時代を前に,着々と他メーカーや放送業界との協力体勢を整えている。

 「第1のEC端末はPCだった。第2のEC端末はケータイになる。そして第3のEC端末はTVだろう」(中村氏)。もちろん,将来のEC市場でTVがリーダーシップをとるためには,放送業界の協力が欠かせない。今回のイベントは,同氏にとっても恰好のアピールの場になったはずだ。

 Madia Parade2000は,東京赤坂のTBS本社とその周辺施設(赤坂BLITZやACTシアター)を使用して開催されている。会期は11月2日まで。明日のゲスト基調講演はソニーの出井伸之社長だ。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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