News 2000年11月1日 09:03 PM 更新

Amazon上陸,国内制覇に向けて死角なし?

11月1日,世界最大のネット書店「Amazon.com」が日本に上陸した。Amazonは国内でも圧倒的な地位を確立できるのか。

日本での成功に自信を見せるAmazon.com創業者のBezos氏

 世界最大のオンライン書店である米Amazon.comが,いよいよ国内でのサービスを開始した。11月1日にオープンした「Amazon.co.jp」(www.amazon.co.jp)は,洋書60万点,和書60〜70万点を取りそろえる大規模なもので,カタログをあわせるとその数は170万点にのぼる。

 国内では,今年に入ってから,ドイツの競合総合メディア企業Bertelsmann傘下のBOL(6月23日の記事参照)や,図書館流通センターなどが設立したbk1など,ネット書店のサービス開始が相次いでいる。日本には再販制度が存在するため,米国のようにディスカウント販売は導入できないが,Amazon.co.jpは,その強力なブランド力と巨大なユーザーベースを武器に先行他社を追撃する。

3年後に期待とBezos氏

 記者会見に登場した米Amazon.comの創業者でCEO(最高経営責任者)のJeff Bezos氏は,日本進出について,「Amazonは,世界200カ国に2500万人のユーザーを持つ最大のオンライン書店だ。日本でも米国と同様に,使いやすいサービスを提供していく」と述べ,英国,ドイツ,フランスに続く4番目の海外拠点となるAmazon.co.jpに期待してほしいと語った。

 日本法人のアマゾンジャパンは1998年9月の設立。東京・渋谷にオフィスを置き,社長には,ピープルソフトジャパンの設立メンバーだった長谷川純一氏が就任した。和書の供給については,中堅書籍取次の大阪屋と提携。千葉県・市川市に物流センターを借り,日本通運と共同で運営することでコストを抑える。なお,Bezos氏は日本進出に伴う投資額についてコメントを避けた。

 「米国ではIT関連,特にインターネット企業の株価が下落しているが,それは昨年が異常だっただけ。われわれのビジネスは,3年くらいのスパンで評価してもらいたい」(Bezos氏)

米国と同等のサービスを提供

 Amazon.co.jpでは,洋書30/和書14のカテゴリを設置。ビジネス・経済,コンピュータ・インターネット,文学,ノンフィクション,コミック,ならびに児童書など一般的なジャンルは網羅し,さらに,日本市場向けにビジュアルブックとEFL(English as Foreign Language)という新カテゴリーを用意している。また,オンライン書店では重要視される書評や著者インタビューについては,自社で100人程度のレビューワーを確保するとともに,書評雑誌の「ダ・ヴィンチ」と提携,毎月約150冊分のレビューを掲載する。また,日経BPなどが設立した書評専門会社のブックレビューとも協力する。そのほか,サービス開始から2〜3カ月後には,レコメンデーションサービスも提供する予定だ。

 決済方法は,クレジットカード(JCB/VISA/MasterCard)またはAmazonギフト券。購入商品の配送方法は,日通のペリカン便による自宅配送のみとなり,ソフトバンク系のイー・ショッピングブックスのように,コンビニ決済を導入するかは未定だという。なおAmazon.co.jpでは,サービス開始キャンペーンとして,年内は,洋書を最大3割引きで販売,国内配送料を無料とする。

 また,本家のAmazon.comでは,書籍のほかに,CDやDVD,玩具,さらには新車販売なども行っている。赤字経営の原因とも言われる事業の多角化だが,Bezos氏は「日本でも書籍以外の商品を取り扱う予定だ。まずは,AVソフトから始める」と明かした。時期は未定だが,早くても来春になる見込みだという。

Amazon.co.jpは盤石か?

 Bezos氏は,サービスを開始したその日に,Amazon.co.jpを「日本最大のネット書店」と表現した。Bezos氏によれば,現在,Amazon.comには19万3000人の日本人ユーザーがおり,「彼・彼女たちはAmazon.co.jpの開設を心待ちにしていた」というのだ。Bezos氏の言う通り,おそらく,Amazon.comを使っていたユーザーの多くが,Amazon.co.jpのサービスも利用することになるだろう。国内でサービスを開始する前から,知名度は非常に高いAmazon.com。Bezos氏もそのことに大きな自信を抱いているようだが,不安要素がないわけではない。

 例えば,Amazonの最大のライバルとも言われるビー・オー・エルは,角川書店,大日本印刷,取次では日本出版販売など,出版関連の国内大手企業と幅広く提携。特に日販とは書籍倉庫を共同で利用,配送の佐川急便とあわせて物流機能を丸投げしている。またbk1には,大手取次5社とオンラインで接続し,合計56万タイトル以上の「バーチャル」在庫を用意するほか,株主の日経BPが,同社のコネクションを活かしてビジネス関連の書評陣を充実させている。逆にアマゾンは,「自分もそうだが,社内に出版業界をよく知っている人間がいない」(長谷川社長)という状況だ。

 日本法人設立から2年かけてようやくサービス開始にこぎつけたAmazon.co.jp。盤石とは言えない状況ではあるが,1-Click方式など,サイトの使い勝手には定評があり,世界中で2500万人のユーザーを獲得した実績がある。Bezos氏に「君に会えてよかった」と言われたという長谷川社長の手腕に,大きな注目が集まっている。

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[中村琢磨, ITmedia]

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