News | 2000年11月1日 09:47 PM 更新 |
経営再建中のセガ(7964)は,その最大の問題であるDreamcastのハードウェア事業について,ゲームコンソール単体の拡販ではなく,そのアーキテクチャー(フォーマット)を様々なプラットフォームに供給していく方向に転換していくことを打ち出した。
11月1日に開催された事業計画説明会の席上で明らかにされたもので,これを同社では,製品(プロダクト)プロバイダからフォーマットプロバイダへの転換と位置付けている。従来のDreamcastコンソール販売はその中の一形態となる。
DCフォーマットをライセンス供与
Dreamcastのハード販売事業は2000年3月期で401億円の営業赤字を出し,同社の業績の足を引っ張ってきた。同社は先月27日に,2001年3月期の連結経常損益の見通しを,従来の30億円の黒字から278億円の赤字に下方修正したが,これも,米欧でDreamcastの価格を引き下げたため,同事業が403億円の営業損失を出す見通しになったことが響いている。
同事業が赤字を垂れ流す構造になっているのは,一にも二にもDreamcastのシェア拡大のため,無理な増産を行い,それが不良在庫の山を築いてきたからだ。だが,フォーマットプロバイダになれば,ゲームコンソールの無理な増産をあえて行う必要がなくなる。同社では,2002年3月期の同事業の連結営業損失を,この転換によって200億円以下にまで圧縮する方針だ。
Dreamcastのアーキテクチャーについては,「DCフォーマット」としてPCメーカーなどにロイヤリティで提供する方針を採る。これにはGSL(Game Socket Layer),アーキテクチャーの他,半導体やCGIなどのサーキット技術,デザイン,リファレンスモデル,ライブラリ,APIなどが含まれている。
対象となるハードウェアとしては,PCのほか,セットトップボックス,各種AV機器,PDA,次世代携帯電話などが挙げられている。このうちPCなどでは,PCIカードのDreamcastカードの開発が進められており,PCにこのアドインカードを装着すれば,DreamcastのゲームがPC上でパフォーマンスなどの劣化なく楽しめる。
説明会場にはこのPCIカードのサンプルなども展示されており,「すでにリファレンスデザインとサンプルを持っていろんなメーカーと交渉しているところ」(代表取締役副社長・佐藤秀樹氏)だ。DCフォーマットは通信機能が前提になっているため,通信機能部分のAPIの作り込みやレイテンシーの問題など,既存のPCアーキテクチャーとの融合部分に課題は残るものの,「少なくとも来年の年末商戦には間に合うよう,開発を進めている」(会場の説明員の話)。
将来的には,携帯電話などでもDreamcastのオンラインゲームを楽しめるようにするため,DCフォーマットをワンチップ化する計画。現行の半導体は0.25ミクロンプロセス技術で製造されているが,0.15ミクロンや0.13ミクロンへの移行を検討しているという。携帯端末やPDAで利用する場合は,そのフォームファクタなどに合わせたサブセットのようなものを考えているようだ。