News 2000年11月9日 10:12 PM 更新

メディアヴィジョン,新コンセプトの文書作成ソフト「Kacis」を発表──ソフト活用で電子書籍販売も

メディアビジョンが発表した「Kacis」は,ワープロとアウトラインプロセッサを融合した文書作成ソフト。これを活用した電子書籍販売も来春開始する。

 メディアヴィジョンは11月9日,文書作成ソフト「Kacis」を発表した。同ソフトはワープロソフトとアウトラインプロセッサの機能を融合した機能を持ち,書籍の目次と本文のような形式で項目ごとに文章を作成・管理できる。通常のワープロソフトと比べ一覧性/閲覧性に優れているという。また著作権保護機能を搭載し,電子書籍の出版も容易にしている。同社と開発元のカシスでは,同ソフトを活用した電子書籍販売を2001年4月に開始する予定だ。

 Kacisの特徴は,表紙や目次,本文,脚注といった書籍の構成要素を備えたドキュメントを作成できる点。画面左側に“目次”,右側に“本文”を記入できるウインドウを備え,目次とそれに対応した本文を記入していくことで文書を作成する仕組み。そのため,完成した文書は書籍の体裁を備えていることになる。文書は独自形式で保存されるが,Kacisで閲覧することで電子書籍として読むことができる。

 目次は,並び順の変更や階層化も自由に行える。また本文中には画像データや表を挿入することも可能。さらに全文検索機能も備えている。これらの機能を活用し,文章中心のデータベースや画像アルバムなどを作成することも可能だ。

 Kacisのラインアップは,「Kacis Publisher」「Kacis Writer」「Kacis Writer Free」の3種類。Publisherでは,作成した文書のコピー作成を防止できる著作権保護機能が盛り込まれ,電子書籍の出版を考えているユーザーがターゲットとなる。Writerは著作権保護機能を省いたバージョン。Writer Freeは同社サイトで配布されるフリーウェアで,Wordや一太郎で作成されたファイルを読み込めないなどの機能制限がある。

 対応OSはWindows 95/98/Me/NT 4.0/2000と,MacOS 8.5以降。発売は12月8日を予定し,価格はPublisherが4万8000円,Writerが1万8000円。サンプルとして「通商白書2000」や「青空文庫」に掲載されている夏目漱石や芥川龍之介の作品が収められている。

「紙の出版には限界」

 メディアヴィジョンとカシスが計画している電子書籍販売は,Kacisを書籍作成ツールとしてだけではなく,リーダーとしても活用する。目次部分をクリックすれば本文にすぐにアクセスできるため,「PDFや通常のワープロ文書などに比べ,閲覧性は高い。書いたらすぐに出版できる」(カシス)。ソフト,ビジネスモデルについて既に特許を出願済み。来春のスタート以降は官公庁の白書やコンピュータ関連書籍,医学書などのコンテンツをそろえる予定だ。

 カシス社長で,元「MACLIFE」編集長の高木利弘氏は,「インターネットの出現で,紙の出版事業には限界を感じた。電子出版は取次を通す必要もなく,出版社の利益も上がる」と狙いを話している。将来は海外展開も図り,電子書籍分野におけるデファクトスタンダードを目指すという。

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[小林伸也, ITmedia]

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