News 2000年11月13日 05:17 PM 更新

インテル,0.13μメートルプロセス技術の開発完了を発表

半導体の動作周波数や消費電力,発熱などに大きく関係するプロセス技術が新しくなる。

 インテルは,0.13μメートルプロセスによるロジック技術の開発完了を発表した。これは米国時間7日に行われた発表とほぼ同様のものだ。

 かねてより,インテルは0.13μメートルプロセス技術の導入を2001年に予定しており,今回の発表は「来年から大量生産に入れるというめどがついた」(インテル,開発・製造技術本部長の城浩二氏)という意味を持っている。

0.13μメートルプロセスのメリットとは?

 プロセスルールとは,半導体内部の回路幅のこと。一般には,より細い製造プロセスに移行することで,クロック速度の向上,発熱の低下,消費電力の削減,ダイサイズの縮小などが見込める。インテルは1999年から0.18μメートルプロセスを使っており,現在,インテルの半導体工場は95%強が0.18μメートルのものだ。年内には99%が0.18μメートルに,来年は0.13μメートルに切り替わっていく。

 Pentium IIIの場合,0.25μメートルから0.18μメートルへの移行によって,最高動作周波数が600MHzから1GHzへと向上してきた。0.13μメートルプロセスでは「数GHz」(インテル)のプロセッサが製造できるようになる。

 また動作電圧が0.18μメートルの1.5ボルトから1.3ボルトに低下することで,発熱,消費電力が低下する。消費電力は電圧の2乗に比例し,発熱は消費電力に比例する。城氏は,モバイルコンピュータ向け製品での利点を強調した。

 ダイサイズも同様に50%程度縮小するため,1枚のシリコンウエハーから得られるチップ数も増加する。これによって製造コストの低下,ひいては製品価格の低下も期待される。

 0.13μメートルプロセスの技術を開発しているメーカーは多いが,城氏は「(インテルでは)量産体制が確立できた。(ほかのメーカーに比べても)一番早いのではないかと思っている」と言う。

 今回のもう1つのトピックは銅配線の使用だ。「Copperを初めて使っている。今回もメタルの層としては6層だが,これまでのアルミを銅にした」(城氏)。IBMをはじめとする半導体メーカーは,0.18μメートルプロセス時から銅配線を採用しており,IBMが製造するCrusoe,MotorolaのPowerPC,AMDのAthlonなどは銅配線を使って作られている。

2002年の後半には0.13μメートルプロセスが主流に

 また,インテルは0.13μメートルプロセス技術を9つの工場で立ち上げていく。まずは,2001年の第1四半期にオレゴンのFab 20で少量生産を開始し,2002年の第1四半期には300ミリウエハーを使ったオレゴンのD1C工場も立ち上げる。このウエハーは現在インテルが使っている200ミリのウエハーに比べ,一枚で2.25倍の量のチップを製造できる。


インテルは,上記のようなスケジュールで0.13μメートルプロセスに対応していく。ただし,それぞれを新規に立ち上げるわけではなく,「既存の設備を70%くらい利用する」(城氏)という。インテルが世界中に持つ半導体工場は15ヵ所前後

 2002年の後半には,「0.18μメートルと0.13μメートルの生産量が逆転する」(城浩二氏)としており,2003年末までにほぼすべてのチップの生産を0.13μメートルに移行する予定だ。また,「インテルでは2年おきに(新しいプロセスに)進歩している」(城浩二氏)と2003年には0.13μメートル以下のプロセスを導入することを匂わせた。

 0.13μメートルプロセスへの期待は大きい。0.18μメートルで製造されるPentium IIIは,動作クロック1.13GHzのものが回収されるなど,アーキテクチャーやプロセス技術の限界にきていると見られている。また当初0.18μメートルで製造されるPentium 4も,発熱が非常に大きく,搭載には注意が必要だ。ライバルと目されるAMDは,1.2GHzのCPUをリリース済み。さらに現在のプロセス技術のままクロックを順調に向上させていくロードマップを持っている。

 インテルは「動作可能なSRAMおよびマイクロプロセッサを0.13μメートルの設計ルールで製造することに成功した」としているが,来年,0.13μメートルプロセスを使ってリリースされる最初の製品はプロセッサだという。0.13μメートル版のPentium IIIはコードネームで「Tualatin」と呼ばれるもの。同じくPentium 4は「Northwood」と呼ばれている。

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[斎藤健二, ITmedia]

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