News 2000年11月14日　10:23 PM 更新

AMDの新ロードマップとは？

AMDがCOMDEX/Fallで明らかにした新ロードマップからは，MustangやMobile Spitfireの姿が消えた。

　「COMDEX/Fall 2000」のAMDは，例年のように展示会場にブースを設けず，ミーティングルームで特定の顧客とプレスに対して最新ロードマップを説明している。そこで配布された最新資料では，キャッシュサイズの大きなサーバ／ワークステーション用プロセッサとして位置付けられていた「Mustang」（コードネーム）がロードマップから消え，さらに，現行Duronのモバイル版（Mobile Spitfire）もなくなっている。ただし，Mobile Spitfireの代わりにMustangベースの低価格プロセッサ「Morgan」のモバイル版を来年前半に準備する見込みだ。そして2002年前半には，64ビット命令を追加したx86-64に対応する「Hammer」シリーズプロセッサの第1弾として，「ClawHammer」が投入される。ClawHammerは，既にサーバ用プロセッサとして開発が公になっている「SledgeHammer」の低価格版だ。

Mustangが消え，2次キャッシュは最大256Kバイトに

　AMDによると，現行Athlonの後継コアであるMustangがカバーする予定だったハイエンド市場は，2001年第1四半期に登場する「Palomino」がサポートする。Palominoは，Mustangと同じ改良型Athlonコアを使うが，最大で2Mバイトという巨大な2次キャッシュが搭載されるとされていたMustangに対し，Palominoには256Kバイトという常識的なサイズが内蔵される。

　これは巨大なキャッシュを内蔵しても，コストの割にパフォーマンスが向上しないためだと思われる。巨大なキャッシュメモリは，特にマルチプロセッサ環境でのパフォーマンスを向上させる可能性があるが，Athlonの場合，単純なSMP構成では最大2プロセッサまでしか対応するチップセットの予定がない。2プロセッサであれば，256Kバイトのキャッシュメモリでも十分である。

　Palominoの2次キャッシュを64Kバイトに抑えた低価格版のMorganは，Duronブランドで2001年の第2四半期に出荷を開始。PalminoもMorganも，それぞれ動的に動作電圧とクロック周波数を変化させる「PowerNow！」を搭載したモバイル版が用意される。

　これらのプロセッサは，PowerNow！の実装を除くとマイクロアーキテクチャには変更が加えられない見込みだが，シリコンへの実装面で最適化を進めることにより，現行のThunderbird，Spitfireよりも高いクロックでの動作が可能になる。Palominoは1.2GHzから出荷が開始され，2001年第2四半期には1.5GHz以上，2001年後半には1.7GHz以上の速度を実現。この時点で1100〜1300ドルのミッドレンジPCは，1.2GHzまで速度アップするだろうとAMDは予測する。

　ローエンドのDuronブランドも同時にクロックを引き上げていく。来年初め頃にサブ1000ドルPCにもDuron/850MHzが搭載されるようになり，2001年後半には1GHzに達する見込みだ。

　PalominoとMorganは，それぞれ0.13ミクロンプロセスへの移行を2002年前半に予定しており，それぞれ「Throughbred」「Appaloosa」というコードネームが与えられている。これによりダイ面積を縮小し，さらなるAthlon，Druonファミリーのクロック周波数向上と低コスト化を計る計画だ。

0.13ミクロンSOIで製造されるHammerは2GHzから

　サーバ向けプロセッサのSledgeHammerとして紹介されることの多かったAthlon後継プロセッサは，ClawHammerと呼ばれるハイエンドデスクトップPC用プロセッサが，サーバ用よりも先に出荷されることが明らかになった。

　Hammerファミリーは64ビットアドレス空間のサポート以外に，高クロック化を容易にする設計が行われており，SOI（Silicon On Insulator）付きの0.13ミクロン製造技術との組み合わせによって，最初の製品から2GHzの動作周波数を実現する。AMDによると，パフォーマンスを落とさないため，パイプラインを必要以上に深くすることを避けており，「高クロックと高性能の両方を実現する」と言う。なお，ClawHammerのダイサイズは意外なほど小さくなる見込み。AMDでは，100平方ミリを下回るとしている。


1.5GHzで動作するAthlon機を展示していた


「AMD-760MP」チップセットを用いたデュアルCPU機

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[本田雅一， ITmedia]

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