News 2000年11月14日 11:59 PM 更新

NVIDIA,初のノートPC用グラフィックチップ,「GeForce2 Go」発表

ノートPC用として初めてハードウェアT&Lを搭載し,最速を狙うNVIDIA。ノートPCを本当の意味でデスクトップの代わりに使える時代がやってくるかもしれない。

 COMDEX/Fallの開催前日の12日夜,NVIDIAはノートPC用グラフィックチップ,「GeForce2 Go」を発表した。GeForce2 Goは,ノートPC用としては初めてハードウェアT&Lに対応する。スペックを見る限り,ノートPC用としては現在最速のチップだ。

 「世界初のモバイルGPU」と,いつものことながらNVIDIAは威勢がいい。Microsoftのx-Boxでグラフィック部分を担当するなど,デスクトップPC用のグラフィックチップで大きなシェアを持つNVIDIAだが,ノートPC用チップはこれが初めてとなる。

 GeForce2 Goは,アーキテクチャー的には今年のPC Expoで公開されたデスクトップPC用グラフィックチップ「GeForce2 MX」とほぼ同等となる。2本のレンダリングパイプラインを内蔵し,1秒間に572Mテクセルの描画能力を持つ。これは,NVIDIAのデスクトップ向けグラフィックチップGeForce2 256に迫る数値であり,インテルのチップセットIntel 810に統合されたグラフィックコアを凌駕するものだ。

 ノートPC初のハードウェアT&Lへの対応も注目点だ。ハードウェアT&Lは,通常CPUが行う煩雑なジオメトリ演算をグラフィックチップ側のハードウェアで行うもの。nVIDIAによると,これによってCPUの負担が大きく減るという。ただし,ゲームなどのアプリケーション側が対応している必要があり,これまでのところ,対応アプリケーションは少なかった。

 グラフィックメモリは,8M,16M,32MバイトのSDRAMおよびDDR SDRAMに対応している。デュアルチャネルのLVDSコントローラを内蔵することで,2048×1536ピクセルの解像度まで表示できる。

 「TwinView」と呼ばれるマルチディスプレイ技術への対応は,ノートPCユーザーにとってもっとも嬉しいことかもしれない。これは,メインの液晶パネルと同時に,以下のような組み合わせで映像を出力できる機能だ。
・液晶 + CRTディスプレイ
・液晶 + テレビ
・液晶 + DVIデジタル出力
 これらに,同じ映像を表示させてもいいし,違った映像も出力できる。

全員がバッテリー寿命ばかり望むわけではない

 機能的には最高と言えるGeForce2 Goだが,ノートPCユーザーにとって最適とは言い切れないかもしれない。NVIDIAは「ロングバッテリーライフ」としているものの,アイドル時に0.9ワット,最高で2.8ワットとという消費電力は,最近のCPUと比べても電力喰いだと分かる。


現在のノート用グラフィックチップの最高峰,ATI Technologiesの「RAGE 128」を引き合いに出して消費電力を解説する

 しかし,誰もがノートPCに長いバッテリー駆動時間ばかりを望むわけではない。NVIDIAはモバイルプラットフォームで3Dグラフィックが必要とされる理由を次のように説明する。「CPUもディスプレイもHDDも,デスクトップとノートPCの性能差は縮まってきた。唯一残された溝がグラフィックスだ」

 将来,バッテリー駆動の長短が重要な要素になるにしても,ほとんどのノートPCは現在デスクトップPCの代わりに使われている。そのノートPCで唯一デスクトップPCに太刀打ちできない部分がグラフィック性能だったというわけだ。

 世の中が「バッテリ駆動時間」に注目している今,消費電力という弱点を持ったGeForce2 Goは受け入れられるのか。GeForce2 Goを使った最初の製品が登場するのは2001年の春。東芝からアナウンスされる予定だ。

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[斎藤健二, ITmedia]

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