News | 2000年11月14日 10:51 PM 更新 |
「COMDEX/Fall 2000」で東芝は,デジタル放送やHDDレコーダー,DVDプレーヤーなどを統合する「Digital Platform」のリファレンスモデルを出展している。従来のコンシューマーデジタル機器のような1台で完結したシステムではなく,PCのように将来の拡張に対応している点が特徴。このためのPCIバスの拡張規格も提唱している。「PCの終わり」がまことしやかに語られる今年のCOMDEXだが,東芝はPCアーキテクチャのフレキシビリティを家庭用デジタル機器に導入し,新技術にすばやく対応できる仕様として業界に普及させたい考えだ。
COMDEXで展示されたリファレンスモデルは,衛星デジタル放送のチューナーとDVD再生,HDDレコーダーによるタイムシフト再生などの機能を備え,さらにIEEE 1394端子やWebブラウザなどを搭載する。
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「Digital Platform」のリファレンスモデル |
これだけなら次世代デジタルチューナーとしては一般的な装備だが,最大の特徴はPC的なアーキテクチャを採用した点だ。CPUとして搭載した133MHz動作のRISCプロセッサ(MIPS)が全体を制御し,2Dグラフィックアクセラレータも装備する。OSにはAV機器制御に特化したリアルタイムOSを採用し,Javaアプリケーションも動作する。
DVDやチューナーを結ぶインタフェースは「multimedia bus」(MM bus)と呼ばれる規格だ。これはMPEG-2ストリーミングムービーの処理を主目的にPCIバスに改良を施した独自規格。スロットの形状は現行のPCIバススロットと物理的,電気的に互換性があるという。東芝ではMM busの規格を業界標準規格として各社に採用を呼び掛けている。
東芝によると,従来のコンシューマーエレクトロニクス機器は,各機器ごとに完結した“1チップのソリューション”として開発されてきた。そのため,「LSIのメーカーが変わるたびに設計をやり直す」(東芝)のが現状で,次々と登場する新技術にスピーディに対応できなかった。
そこで目を付けたのがPCアーキテクチャだ。各種機器とのインタフェースを,ストリーミングに主眼を置いた拡張PCIバスで共通化し,チューナーなどはコンポーネントの1つとしてシステムに接続される。プラットフォームとインタフェースの共通化で開発の手間が大幅に省ける上,ユーザー側で新技術に対応したコンポーネントと交換すれば,常に最新の機能が利用できることになる。こうしたPCの柔軟性をコンシューマー機器に採用したのがDigital Platformというわけだ。
現時点では各社に採用を呼び掛けている段階で,数社のチップメーカーとも交渉に入っているという。リファレンスモデルに基づいた製品は,早ければ2002年にも登場しそうだ。
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