News 2000年11月21日 11:59 AM 更新

エプソン,同社プリンタユーザー限定のプリントコンテンツ販売サービスを発表

エプソンは,名画やキャラクターイラストをダウンロードしてプリントできる新サービスを12月に開始する。

 セイコーエプソンは11月21日,プリントコンテンツのダウンロード販売「EPSONPRINT」を12月に開始すると発表した。好みの画像を購入してダウンロードし,ユーザーのエプソン製プリンタで印刷できるサービスで,コンテンツは名画や風景写真のほか,アイドルポートレートや大手アニメ制作会社のキャラクター,漫画家が描いたイラストなどが用意される。同社では今後,好調なプリンターを始めとするハードウェアを生かしたネット事業を本格的に展開していく。

 「EPSONPRINT」は,同社プリンタユーザーに限定した,プリントコンテンツデータのダウンロード販売サービス。ユーザーは専用サイトにアクセスし,好みの画像を選んでクレジットカードで決済を済ませると,PCに接続したプリンタで画像を印刷することができる仕組みだ。プリントサイズは,はがき(350dpi,1750×1240ピクセル)からA4(350dpi,2756×3817ピクセル),A3,B1,B0まで対応する。同社によると,ダウンロードから印刷完了まで,A4サイズで15分20秒(ISDN接続時)かかるという。

 エプソンではサービス開始に当たり,課金システムと連動させたWebからのユーザープリンタ制御技術を開発,さらにコピーを防止するため著作権保護技術を導入した。画像はサーバ上で暗号化して管理。ユーザーは決済後に送付される復号鍵を受け取らないとプリントはできず,プリント後は暗号化された状態に戻るため,画像データはプリント目的以外に利用できない。プリント処理はプリンタドライバーと連動しており,同サービス利用時にはドライバー上で印刷枚数を設定できない,といった制限を設定している。

 エプソンはシステムのみを提供し,コンテンツ販売そのものは出店した著作権者が行うショッピングモール方式を採用した。エプソン側はコンテンツ代金の一部を手数料として徴収する。一定の水準や規定を満たせば参加は自由で,企業や個人を問わず幅広く出店を呼び掛けていく。現時点では芸能プロダクションのイエローバス,アニメ制作会社大手のスタジオぴえろ,また士郎正宗氏やいしかわじゅん氏などの漫画家が参加を予定している。

 コンテンツの代金は著作権者によって異なるが,決済をクレジットカードに限っているため「1コンテンツ当たり300円以上でお願いしている」(エプソン)という。

 まず12月1日から試験サービスを開始し,コンテンツの一部を先着順で無料提供する。本格的なスタートは来春を予定。本格開始時には,大判プリントの宅配サービスも実施する予定だ。

 エプソンは,インクジェットプリンタで市場シェア首位を独走中で,本年度中に累計出荷台数が1000万台を超える見込み。今回の新サービスは,プリンタやスキャナ,デジタルカメラといったハードウェア中心の事業を見直し,付加価値サービスを含んだトータルなイメージング事業へと転換させるのが狙いだ。同社の木村登志男専務は「プリンタメーカーとしての基本は変わらないが,サービスを追加することでプリンティング全般を扱う会社になりたい」と話している。今後はフォトシェアリングサイトの開設や,店頭でのプリントサービスなども予定しているという。


新サービス発表会に来場したいしかわじゅん氏。サービスに参加する漫画家の中には新沢基栄氏やえびはら武司氏といった懐かしい名前も

関連リンク
▼ セイコーエプソン
▼ EPSONPRINT

[小林伸也, ITmedia]

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