News 2000年11月27日 09:44 PM 更新

5年後には100Mbps常時接続が家庭に──政府「IT基本戦略」を決定

政府はIT基本戦略を決定。一般ユーザーが30〜100Mbpsの常時接続を低コストで利用できる環境を5年以内に実現するとの目標を掲げている。

 政府の情報技術(IT)戦略会議とIT戦略本部は11月27日,今後のIT関連政策の基本となる「IT基本戦略」を決定した。同戦略では5年以内に「世界最先端のIT環境」の実現を目指し,100Mbpsに達する超高速インターネットアクセスを個人ユーザーに安価に提供できるインフラ整備を打ち出した。

 IT基本戦略では目標として,30〜100Mbpsの超高速アクセスが可能な光ファイバー網の整備を5年以内に進め,「必要とするすべての国民が低廉な料金で利用できるようにする」と明記した。少なくとも1000万世帯が超高速な常時接続,3000万世帯がDSLなどによる高速な常時接続が可能なインフラを構築する(1995年の国勢調査では,日本の世帯数は約4400万世帯)。さらに今後1年以内に,有線・無線のアクセス網により全国民が「極めて安価」な常時接続ができるようにする。またIPv6への移行を促進するとしている。

 同戦略では,日本のネット利用が国際的にみて遅れていることを認め,その原因は「地域通信市場の独占による高い通信料金,公正・活発な競争を妨げる規制の存在」と問題点を明確に指摘した。

 その上で,今後推進すべき政策として,支配的事業者に対し他事業者より規制を厳しくする「非対称規制」の導入,反競争的行為へのチェック機能強化といった競争促進策を挙げている。また各種規制の大幅な見直しや,「事前規制」から「事後チェック」型への転換など,行政に一層の規制緩和を求めた。また光ファイバーの管路利用についても公平で明確なルールづくりを進めるほか,無線の周波数割り当てについては,国際的に主流のオークション方式の導入も視野に入れた検討を行う。

 このほか,電子商取引(EC)に関わる規制緩和や法整備を2002年までに実施,さらに2003年までに行政手続きや関連情報を電子化する「電子政府」を実現する。またITを支える人材育成を重視し,2005年までに「米国水準を上回る高度なIT技術者・研究者」を多数養成する方針も盛り込まれた。

 IT戦略本部は7月,「IT革命の推進」を掲げる現内閣の肝いりで内閣に設置された。IT戦略会議は「官民の力の結集」を目的に同本部が設置したもので,議長をソニーの出井伸之会長が務めるほか,ソフトバンクの孫正義社長,慶應義塾大学の村井純教授などの経営者や学識経験者がメンバーとなっている。27日には合同会議を開いてIT基本戦略を決定した。政府はIT基本戦略を重要な“国家戦略”と位置付け,目標実現に向けて具体的な施策を進めていく。

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[小林伸也, ITmedia]

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