News 2000年11月28日 07:48 PM 更新

NECと日立のDRAM合弁会社,300ミリウエハー対応の新工場を建設へ

NECと日立が共同出資するエルピーダメモリは,大口径ウエハー対応の自社工場を来年建設する。高い生産力と次世代DRAMでシェア奪回を目指す。

 NECと日立製作所のDRAM関連合弁会社・エルピーダメモリは11月28日,広島県に300ミリウエハー対応のDRAM製造工場を新設すると発表した。既に統合されている開発部門に加え,2001年初頭には両社の販売機能もエルピーダに統合。開発から製造,販売まで一貫して手がける日本唯一のDRAM専業メーカーとなる。新工場の主力製品は,エルピーダが世界に先駆けて開発した0.13μメートルプロセスの256MビットDRAM。大口径ウエハー月産2万枚の高い生産能力を武器に,韓国勢らに奪われたDRAM市場の失地回復を狙う。

 新工場は,エルピーダの生産委託先の1つであるNEC広島(広島県東広島市)の敷地内に建設される。延べ床面積は約2万2000平方メートル,うちクリーンルームは約1万7700平方メートル。最大生産能力は300ミリウエハーで月産2万枚。これは,現在主流の200ミリウエハー換算で4万8000枚に当たる。2001年1月に着工し,製品の量産開始は2002年前半を目指している。

 最初の製品は,エルピーダが開発した0.13μメートルプロセスの256MビットDRAM。SDRAMとDDR SDRAMの両機能に対応する上,0.18μメートルプロセスの同容量品と比べ面積で約50%小さい「世界最小のチップ」(同社)だ。既に8月上旬には良品が採れたのを確認している。

 新工場建設に当たり,エルピーダでは約1600億円を投じる計画。うち200億円をNECと日立が半分ずつ負担し,残りは追加出資と銀行借り入れなどでまかなう。

 NECと日立は1999年6月,DRAM事業での提携を発表(1999年6月23日の記事参照)。さらに同年12月には共同出資によりNEC日立メモリ(今年9月にエルピーダメモリに社名変更)を設立,DRAM事業の統合を目指してきた。エルピーダは今年4月,統合の先駆けとして設計開発業務を開始,約5カ月で0.13μプロセスの256MビットDRAM開発にこぎ着けた。「NECと日立の技術がうまく融合している。この技術力を生かすため,思い切って生産も統合する」(NECエレクトロンデバイスの杉原瀚司社長)として自社工場設立を決断した。

 DRAM市場をめぐっては,かつて繁栄を誇った日本メーカーに代わり,SamsungやHyundaiら韓国勢や米Micron Technologyが大きなシェアを占めており,NECと日立の両社を合わせても市場シェアは約13%と低迷している。

 今後のDRAM市場については「PCやサーバ,携帯電話などに広く使われる」(日立製作所の石橋正専務)「汎用に限らず,特定アプリケーションに特化したDRAMも出てくる」(NECの杉原氏)と需要は引き続き拡大すると見ており,「投資を逡巡すると世界市場でのプレゼンス低下にそのままはねかえる」(杉原氏)としてDRAM事業の統合を急ぐ考え。将来のエルピーダの市場シェアは20%,年間売上は5000億円を目指す。

関連記事
▼ NECと日立がDRAM事業で合弁会社設立

関連リンク
▼ エルピーダメモリ
▼ NEC
▼ 日立製作所

[小林伸也, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.