News：音声認識対応Webサイトの可能性を語るアドバンスト・メディア

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2000年11月29日　09:33 PM 更新

音声認識対応Webサイトの可能性を語るアドバンスト・メディア

Internet World Japan 2000の基調講演では，音声認識エンジン「AmiVoice」を開発するアドバンスト・メディアが21世紀のWebサイト像について語った。

　11月29日より千葉・幕張メッセで開幕した「Internet World Japan 2000」（別記事参照）。基調講演に登場したアドバンスト・メディアの山添博之マーケティングマネージャは，「Voice Navigated Website 音声認識対応Webサイト」と題して，21世紀のWebサイト像について語った。

　アドバンスト・メディアは，「AmiVoice」と呼ばれる音声認識エンジンを開発している。AmiVoiceは，音声認識ソフトにはつきものの事前学習を全く必要としないのが最大の特徴で，イントネーションやアクセント，ならびに発話速度に関わらず音声を認識することができる。「海外からの留学生に試してもらったが，認識率は95％以上だった。もちろん，事前に音声の学習は全く行っていない」（山添氏）

音声認識対応シューティングゲーム。飛行船の船体に書かれた文字を発話すると，打ち落とすことができる。デモでは，単語を連続して発話し，飛行船5隻を同時に撃墜するという高度な技も披露した

　同社ではこの音声認識技術を，Webサイトに活用しようと考えている。というのも，「キーボードとマウスで操作する現在のWebサイトは，非常に使い勝手が悪い。音声でナビゲーションできるようになれば，コンテンツも含めて劇的に変化する」（同氏）と見ており，AmiVoiceをそのソリューションとして提案しようというのだ。

　そこで，山添氏は音声認識によるサービス例として，エージェントによる個人データの収集を挙げた。例えば，自動車販売サイトのエージェントは，ユーザーをナビゲーションしながら趣味や嗜好を学び，データとして蓄積する。さらに，1BOXカーに興味があれば，「家族は何人ですか」と家族構成も調べられる。「こうしたことをテキストベースでやろうとすると，ユーザーに敬遠される。しかし，音声で答えるだけならば，手間に思う人も少ないはず」（同氏）

オウム型のエージェントとやりとりする山添氏。「5000円以下のワインを教えて」と尋ねたところ。開発中のため，デモはオフラインで行われていた

　このエージェントモデルを実現するのは，「AmiRule」と呼ばれるAmiVoiceの音声対話機能だ。AmiRuleでは，発話した内容を音声データとしてだけではなく，その意味を理解することも可能だ。例えば，エージェントに「きみの年齢は何歳ですか」と同じ意味の言葉が繰り替えされていても，きちんと年齢を返すことができるという。

　「音声認識ソフトはいくつもあるが，日本は，米国に比べて音声対話機能の分野が遅れている。AIBOは“お手”と言われればお手をするが，それは言葉の意味を理解しているだけにすぎない。AmiVoiceのエージェントは，口調などの感情的な部分も理解することが可能だ」（山添氏）

　音声対応Webサイトを利用するためには，エンドユーザーはPCにAmiVoiceの音声認識エンジンをインストールし，Webサイト側はAmiVoiceのSDKでコンテンツを開発する必要がある。この手のサービスは広く普及しないと利便性が半減してしまうが，「大手ポータルサイトと話を進めており，一気にユーザーベースを拡大する。2001年中に1000サイト，1000万ユーザーの獲得を目指す」（山添氏）と強気だ。なおアドバンスト・メディアでは，2001年4月よりエンドユーザー向けにAmiVoiceのクライアント版をリリースする予定。

　さらにアドバンスト・メディアはPC以外のプラットフォームにも積極的にアプローチしており，既にデジキューブのキオスク端末「デジタルコンテンツターミナル」に採用されているほか，2001年春にはゲーム開発者向けにプレイステーション2用のSDKを配布する予定だ。なお山添氏によれば，AmiVoiceは各種デバイスに組み込んだ形で提供され，パッケージとして販売する計画はないという。

　「音声認識は，ヒューマンインタフェースとして最高のものだ。2002年のWebサイトでは，音声対話が主流になっているだろう」（山添氏）

[中村琢磨， ITmedia]

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