News 2000年11月30日 09:33 PM 更新

デジタルAVとモバイルに経営資源を集中──松下が中期計画を発表

松下が中期経営計画を発表。今後の成長が期待されるデジタルAVとモバイル分野に全社を挙げて取り組むという。

 松下電器産業は11月30日,2003年度まで3年の中期経営計画「創世21計画」を発表した。計画では,デジタルTVとモバイル端末を核とした「デジタルAV」と「モバイル・コミュニケーション」を戦略の柱に据え,両分野の成長に「全社の経営資源を集中」(中村邦夫社長)していく。これに合わせ,事業セグメントを再編成するほか,家電営業体制をブランドごとに統合。また国内拠点の4分の1を統廃合するリストラ策も進める。2003年度に連結売上9兆円,連結営業利益率5%を目指す。

 デジタルAVとモバイル・コミュニケーションについては,「ネットワークはPC中心からTVやモバイル端末などノンPC時代に移りつつある」(中村社長)との認識が基本。国内トップの携帯電話のグローバル展開に取り組み,2003年に世界シェア10%,世界3強入りを目指す。GSM方式の端末拡販に向け,米国の大手ベンダーとの提携も考えているという。さらに製品やデバイスにとどまらず,同社が「eプラットフォーム」と呼ぶネットワークサービス分野に力を入れていく。

 このため,従来は「民生」「産業」「部品」の3つに分けていた事業セグメントを,「AVCネットワーク」(AV,情報通信),「アプライアンス」(家電など),「インダストリアル・イクイップメント」(産業機器),「デバイス」(部品)の4分野に再編成。ネットワーク化や放送と通信の融合など,今後のトレンドに合わせた。

 また同社伝統の「事業部」制を見直し,製造部門を各事業部から分離独立させて責任を明確にするほか,事業部ごとに散らばっていた営業部門を「ナショナル」「パナソニック」の両ブランドのもとに統一。一元的な意志決定が行えるようにする。

 リストラ策では,国内133拠点のうち,約30拠点を売却も含めた統廃合の対象とする。また不採算・低収益事業は,撤退や海外移転を検討する。「雇用は可能な限り確保する」(中村社長)方針で,今後注力するシステムソリューション部門などへの職種転換を断行する考えだという。

 大阪市内で会見した中村社長は,「中期計画のキーワードは『破壊と創造』。デバイスから機器,サービスまでのバリューチェーンを提供できる“超・製造業”を目指す」と語った。

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[小林伸也, ITmedia]

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