News 2000年12月1日 11:59 PM 更新

“番号変えずにDSL”で,ユーザーの負担が増える?

ISDNからDSLに切り替える際に電話番号の変更を伴うケースがあり,NTTが改善案を提示した。しかし,費用をDSL事業者などにも負担させることから,反発が強まっている。

 ISDN回線を利用していたユーザーがDSLに切り替える場合,電話番号を変えなければならないケースがある。この問題で郵政省から行政指導を受けていたNTT東西地域会社は11月30日,来年から全国規模の改修工事を行う方針を明らかにした。しかし,NTT側は数十億といわれる改修コストを他事業者たちと共同で負担する案を提示しており,仮に通れば,そのしわ寄せがユーザーの利用料金にまで及ぶ可能性も高い。

 DSLに切り替える際に電話番号が変更されるのは,アナログとデジタル(ISDN)の交換機が異なるため。NTTによると,現在の設備では,ISDN利用者の約20%にあたる約90万世帯で,アナログに戻すときに電話番号を変更する必要があるという。これを1つの交換機で利用できるようにするため,NTTは交換機に機能を追加する。

 東京めたりっく通信によれば,DSLサービス加入者のうち,およそ6割がISDNからの移行だが,実際に電話番号の変更を伴ったケースは少ないという。だが,「(サービス加入の)心理的障壁になっているのは確か」(東京めたりっく通信)であり,電話番号が変更される心配がなくなれば,需要拡大も見込めるだろう。

 しかし,ここで焦点になるのは改修コストを確保する方法だ。NTTは,「今はまだ提案の段階」と前置きした上で,「これまでも,他事業者の要望で機能が追加される場合には,接続約款に基づき,接続料金や回線料に上乗せする形で費用を負担してもらってきた。今回も,当社(NTT東西)を含むいろいろな事業者にプラスアルファを求める」(同社広報)と話す。

 これに対して,ADSL事業者を中心に業界内から反発が高まっている。事業者にしてみれば,普及し始めたばかりのブロードバンドインフラと言えども既に価格競争は始まっており,ここで負担が増えるのは避けたいところ。例えば,東京めたりっく通信ではADSLメニューが月額5500円からとなっているが,「(負担の)金額によっては,値上げせざるを得ない」という。NTTの提案は今後,郵政省を中心に議論されるが,関連する企業などから多くの反発を受けることになりそうだ。

関連リンク
▼ NTT
▼ 東京めたりっく通信

[芹澤隆徳, ITmedia]

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