News 2000年12月11日 11:48 PM 更新

サーバ向けバーチャルマシンソフトが発売──VMware

Linux上に仮想マシンを構築し,その上でWindowsや別のLinuxを動作させる,そんなソフトウェア「VMware」シリーズに,サーバ版が登場した。

 12月11日,ネットワールドは仮想マシンソフト「VMware」シリーズとして,サーバ版向けである「VMware GSX Server」「VMware ESX Server」の発売を発表した。

 米VMwareが開発したこの仮想マシンソフトは,1台のインテルアーキテクチャマシン上に仮想マシンを構築し,複数のOSを同時に稼働させられるものだ。LinuxやWindows NTといったOS上でVMwareを起動すると,新たに仮想マシンが立ち上がる。仮想マシンはBIOSの設定まで可能な本格的なものだ。


Linux上でVMwareを起動し,その上でWindows 98を動かしている。VMware上で動いているOSはサスペンドも可能だ

 これまで「VMware Workstation」として,デスクトップPC向けソフトが販売されてきた。今回発表されたVMware GSX ServerとVMware ESX Serverは,サーバ向けの仮想マシンソフトとなる。

 サーバにVMwareを導入するメリットとして,米VMwareのマーケティングディレクターであるReza Malekzadeh氏は「サーバの整理統合が可能」「リソースをダイナミックに割り当てたり,管理することが可能」ということを挙げる。

 VMware GSX Serverは,社内の大規模サーバ向け仮想マシンソフトウェアだ。Merrill Lynchの社内システムやHalliburtonの社内データベースなどでテストされているという。「Merrill Lynchにはたくさんの支社があるが,システムは統一されていない。ITスタッフは,サポートのために支社ごとに異なるシステムを用意する必要があったが,GSXを使うことで異なったサーバを維持しておく必要がなくなった」(Malekzadeh氏)。

 VMware ESX Serverは,ASP業務用サーバを含めたメインフレームレベル向けの仮想マシンソフトウェア。eオンラインやCenterBeamなどがテスト採用しているという。「eオンラインは,ASPのホスティングとAribaのソリューションを提供している。いろいろなカスタマイズが可能だが,ESXサーバによって,独立した安全な環境を提供できた。またサーバの数を減らせるため,環境を維持するための管理コストが減った」(Malekzadeh氏)。

 Workstation版に比べ,サーババージョンでの機能強化点は以下の通りだ。

VMware GSX Server

  • Webインタフェースによる遠隔操作
  • ネットワークを通じた画面転送
  • Perlを使ったスクリプティング環境の提供
  • ネットワーク,ディスクのI/Oパフォーマンス改善

VMware ESX Server

  • VMware GSX Serverの機能に加え,Linuxのカーネル部分も内蔵。ホストOSなしでVMwareを起動できる

 VMware GSX Serverの価格は36万4000円から。SIベンダーを通しての間接販売が主体となる。出荷は2001年の1月下旬を予定している。VMware ESX Serverは,使用量課金のライセンス方式を予定している。

 また同時にVMware Workstationのサブセット版である「VMware Express」も販売する。Linux上のみで動作し,仮想マシンが対応するOSはWindows 95またはWindows 98となる。価格は1万9000円。

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[斎藤健二, ITmedia]

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