News | 2000年12月12日 07:25 PM 更新 |
カシオ計算機は12月12日,データ通信機能一体型の企業向けPocket PC「カシオペア E-707」を発表した。E-707は,NTTドコモのパケット通信サービス「DoPa」に対応したモジュールを本体に組み込んでおり,単体でインター/イントラネットに接続できるのがメリット。同社の樫尾和雄社長は「企業内のイントラネットにモバイルで入るというコンセプトのため,通信一体型にした。従来のPDAを大きく変える製品だ」と自信を見せている。
通信機能一体型PDAとしては,PHSモジュールを内蔵した日本アイ・ビー・エム(IBM)の「WorkPad」(7月27日の記事を参照)がある。 IBMの場合は通信速度を重視してPHSを採用したが,カシオでは「パケット通信であることに加えて,人口カバー率の高さと,基本料金の安さ」を重視してDoPaに決めた。また,セキュリティ面でも「社内にアクセスする際には,NTTのDoPa網と専用線だけを使うため,極めて機密性が高い」(カシオのコンシューマ事業部長,鈴木洋三常務)とそのメリットを強調。さらに,独自の暗号化技術「MDSR」(Multi Dimensional Space Rotation)によって送信データの暗号化もサポートし,携帯性と同時に高いセキュリティレベルが求められる業務に訴求する方針だ。PDAを通信一体型にする最大のメリットは,情報の即時性だ。E-707は,待ち受け中の通信モジュールに着信すると自動的に本体の電源が入る「Wake on Ring」機能を搭載。NTTドコモがDoPaで提供しているプッシュ型配信サービス「Live! サービス」を使えば,「オフィスからの緊急通信や同報通信が可能になる」(鈴木氏)。
また同日,カシオは日本オラクルとの提携を発表した。これは,オラクルの携帯端末向けWebポータル構築ミドルウェア「Portal-to-Go」を利用して,企業向けソリューションを提供するというもの。オラクルのPortal-to-goは,既にある企業内イントラネットに専用サーバを加えることで,既存のWebコンテンツをそれぞれの携帯端末に適したレイアウトに変更してくれる。。両社は,12月14日から東京ドームで開催される「オラクルオープンワールド2000」でE-707とPortal-to-Goを使ったモバイル接続のデモンストレーションを行う予定だ。
E-707のハードウェアは,基本的に「GFORT」と同等の仕様ながら,新たにSDカードスロットを設け,従来からあるコンパクトフラッシュ(CF)Type IIと合わせて2スロット構成になった。これにより,CFスロットにGPSモジュールを装着し,SDカード内の地図データと組み合わせた“歩行者ナビゲーション”や“観光支援サービス”などの応用も可能になっている。
価格はオープンプライス。システム構築を伴うため,明確な価格は示されていないが,「端末だけなら10万円前後」だという。出荷は2001年1月を予定している。そのほかの仕様は以下の通り。
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右側面に設けられたSDカードスロット |
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本体上部にはCF Type IIスロット。ドコモの「P-in Comp@ct」も装着できるが,もちろん「DoPaとの同時使用はできない」(カシオ) |
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日本無線の開発によるGPSモジュールを接続した応用例 |
製品名 | E-707 |
CPU | VR4122/150MHz |
OS | Microsoft Windows for Pocket PC |
メモリ | 32MバイトROM,32MバイトRAM |
ディスプレイ | 240×320ピクセルTFT液晶(6万5000色) |
インタフェース | シリアル,USB,IrDA,コンパクトフラッシュ Type IIスロット,MMC/SDカードスロット |
通信速度 | 9600bps |
バッテリー | 専用リチウム充電池 |
バッテリー持続時間 | 約8時間(操作1分,表示10分の繰り返し) |
待ち受け時は約150時間(本体電源オフ) | |
連続送信時は約2時間 | |
サイズ | 82.6×132×25.2ミリ |
重量 | 約310グラム |
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