News 2000年12月18日 11:59 PM 更新

携帯を軸に個人情報を統合。Eコマースとの連携も──Zkey

個人情報をWeb上で管理し,PCやPDAとシンクロする……。それだけのサービスはもう古いかもしれない。さらに携帯電話を加え,Eコマースサイトともリンクするサービスが登場してきた。

 12月18日,米Zkey.comのCEOであるNick Desai氏が来日し,これからの個人情報管理のあり方を語った。


Zkey.comのChairman&CEOのNick Desai氏
 これまで機器ごとにばらばらで管理されていた個人情報を,デスクトップPCやPDA,携帯電話などで一括して利用できるようにする……。これだけのサービスなら既に多くのASP事業者が取り組んでいる。Zkey.comは,そこから一歩進んで,個人情報とEコマースサイトの連携を,携帯電話キャリアと組んで行おうとしている。

個人情報をEコマースサイト横断で利用

 Zkey.comとは,米国で運営中の個人情報管理サービス。Web上のPIMとしては,米「PC Magazine」をはじめ,多くのメディアの賞を受賞している。Webベースで管理される個人情報を,PalmやOutlookとシンクロナイズ(同期)できるのはもちろんのこと,EコマースサイトではZkey.comに登録された個人情報を活用して,簡単にショッピングやサービスの提供が受けられるのが特徴。

 例えば,Zkey.comと連携した航空会社でチケットを購入する場合を考えてみよう。成田からサンフランシスコへのフライトチケットを予約したいとする。WAP対応の携帯電話で航空会社のサイトにアクセスして,「成田」「サンフランシスコ」を選ぶだけで,Zkey.comに登録された個人情報からクレジットカードデータが参照され,自動的に支払いが行われる。続いて同様に個人情報が参照され,窓際の席か通路側かなどが決定される。さらに,フライトの時刻が決まると,Zkey.comの予定表データに書き込まれるというわけだ。

 これは,Zkey.comに登録したデータのうち,どの情報を誰に公開するかを,ユーザーが自由に選択できるという技術で成り立っている。Eコマースサイトにだけクレジットカードの番号を公開したり,友人に自分の最新の携帯電話番号だけを公開するのも可能だ。「特定のトランザクションを完了するために必要な情報を全て提供する」(Nick氏)。

 データベースは完全に暗号化され,ユーザーが公開した相手でない限り見ることはできない。

携帯キャリアとの連携を進める

 Zkey.comでは,通常のWeb上のサービスに加え,今後は携帯キャリアとの連携を進めていくという。Zkey.comでは,キャリアにサービスネットワークをライセンスすることで,収益を上げていく形になる。

 キャリアがZkey.comを採用すれば,その携帯電話を持っている全てのユーザーが,PCやPDAと連携したPIMを利用できるのに加え,キャリアの公式Eコマースサイトを先のフライトの例のように簡便に利用できるようになる。

 また,その際にはキャリアブランドを有効活用できるのも強みだ。米Microsoftも複数のEコマースサイトや,さまざまなデバイスが,XMLを使ってデータをやり取りする世界を「.NET」で構想しているが,「Microsoftはツールの提供のみ。Zkey.comは実績とキャリアブランドがある」とNick氏はZkey.comの優位点を語る。

 既に米国では複数の携帯キャリアと交渉中であり,日本でも積極的に自社の技術を売り込んでいる。「日本で1キャリア,ヨーロッパで1キャリア,米国で2つのキャリアに採用されたい」(Nick氏)と来年の目標を語っている。

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[斎藤健二, ITmedia]

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