News 2000年12月20日 11:14 PM 更新

NTT東日本のDSL事業参入妨害は「警告」にとどまる――公取委

公正取引委員会は,NTT東日本に対してDSL事業者の新規参入を妨害しないよう警告した。

 NTT東日本がDSL事業者の新規参入を妨害した疑いを持たれていた問題(10月24日の記事参照 )で公正取引委員会は12月20日,私的独占の恐れがあるとしてNTT東日本に警告した。

 公取委は調査の段階でその焦点を明らかにしていなかったが,今回の勧告では,以下の点について独占禁止法に違反する疑いがあると認定し,こうした行為を中止するようNTT東日本に求めている。

  • DSL事業者の試験サービスの範囲を東京都内6局に限定していた
  • NTT局舎内のコロケーション工事について,DSL事業者の自前工事を認めなかった
  • 工事の入札時にはNTTが主導権を握り,結果,特定企業に限定された
  • グループ企業と競合他社を差別した

 NTT東日本では警告について,「改善指導には速やかに実施したい」とコメントしているが,あるDSL事業者によれば,公正取引委員会の調査を契機に,NTT東日本は態度を軟化させ,DSL事業者に協力的になったという。そのため,公正取引委員会の決定は,法的処分にあたる排除勧告ではなく,行政処分の警告にとどまったもようだ。

 また,このDSL事業者は「今回の勧告は実際にはほとんど意味を持たない。今やNTTはDSL事業への本格参入を表明し,非常に競争力のあるフレッツ・ADSLを打ち出した。協力的になったのは,ほかのDSL事業者を妨害するまでもないからだ。フレッツ・ADSLによってわれわれは窮地に立たされている」と指摘する。

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