News 2000年12月22日 07:51 PM 更新

「iモードJavaはアマチュアにチャンス」──ドワンゴ開発者がホビープログラマーにエール

Javaが動くiモードは,実は過去最大のホビープログラマー向けプラットフォームだ。今からでも遅くない。この正月はJavaを学ぶ!?

 2001年1月と予測されている,iモード端末「503i」シリーズにはJavaVMが搭載され,Javaアプリケーションを動作させることができる。

 依然としてJavaの仕様は一般公開されておらず,「プログラムサイズが10Kバイト」「ダウンロードされたサーバとしか通信できない」などの断片的な情報しか出回っていないが,プロのプログラマーだけでなく,アマチュアのホビープログラマーも“iモードJava”に注目している。

 503i用Javaゲームとして,「サムライロマネスク」を開発中の,ドワンゴ第一研究開発部企画セクションのアーキテクトである清水亮氏は「(iモードJavaは)アマチュアプログラマーにとってチャンスだと思って欲しい」と語る。

 ドワンゴで清水氏が開発中なのは,iモード用マルチプレイヤーRPGのサムライロマネスクだ。これは,3つのJavaアプリケーションが連携して,最大50万人のユーザーが同時に合戦に参加できるという壮大なゲーム(詳細はこちら)。

 そんな清水氏だが「(iモードJavaでは)アマチュアとプロとの差は,ある意味つきにくい」と言う。iモードJavaは,プログラムサイズは制限されているし,“Java”とはいってもKVM+CLDCをベースにした機能の少ないものだ。画面も小さく,浮動小数点演算もできない。

 制限があまりに大きいだけに,プログラムとしての技術よりも,「アイデアのほうが重要になってくる」のであろう。ホビープログラマーにとっては,久々にやりがいのあるプラットフォームが登場したわけだ。

オタクと一般人の共通デバイス

 言語の特性もあるが,プラットフォームが「携帯電話」だということも,ホビープログラマーの注目が集まる理由だ。

 これまでにも,プログラミング可能な小型情報機器は,実はたくさん出ている。有名なところで,日本アイ・ビー・エム(IBM)の「ChipCard」,京セラの「DataScope」,もちろん「Palm」シリーズもそうだ。多くのホビープログラマーがこれらに飛びついた。しかし,現在残っているのはPalmのプログラマーだけだろう。プラットフォームが大きいかどうかは,ホビープログラマーにとっても重要な点だ。

 清水氏は,これを「人類が初めて出合った,オタクと一般人の共通デバイス」と表現する。これまでのホビーユーザーは,どんなにすごいプログラムを作っても,同じコンピュータを持っている狭い範囲の人にしか使ってもらえなかった。しかし,今回は違う。

 自分の作ったプログラムは,親にも彼女にも使ってもらえるだろう。“コンピュータなんて触ったこともない”という人でも,携帯電話は持っている可能性は高い。PC上のオンラインソフトも,まだまだ一般人が利用するには敷居が高いが,携帯電話用のJavaソフトなら,Windows用のオンラインソフトよりも利用者が多いかもしれない。

サムライロマネスクの開発状況は?

 さて,iモード向けJavaゲームとして注目度の高いサムライロマネスクの開発状況はどうなっているだろう? 清水氏は「全端末に対応させるのに苦労した」と語るが,開発自体は順調なようだ。

 懸念される動作速度も,「速度よりも,キャラクターを動かしたときに残像が残ってしまうほうが問題」(清水氏)というほど。ZDNNの調べでは,503iは256色のカラーSTN液晶の機種と,4096色TFD液晶の機種があるようだ。Javaゲームを楽しむには,液晶も重要なポイントとなるだろう。

 「正月は休みなしだが,503iと同時にサービス開始できる」と,清水氏は完成度をアピールする。来年1月と予測される503iの発売が,ますます楽しみになってきた。


ドワンゴ,サムライロマネスクの最新の流れ図はこうなっている(クリックして拡大

関連記事
▼ 制限きついiモード用Java──ドコモ503iでできること,できないこと
▼ Java搭載iモードではこんなことができる!──ドワンゴ「サムライ ロマネスク」
▼ iモードのJava端末,当初はロースペックで登場
▼ 503iの発売はいつだ!?──各端末のスペックも情報頻出

関連リンク
▼ ドワンゴ

[斎藤健二, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.