News 2000年12月25日 11:59 PM 更新

来年は携帯電話を買い換える?──2001年ケータイロードマップ

来年は携帯電話の当たり年。数ヵ月おきに新機能を持った携帯電話が登場する。果たしてどの段階で買い換えるべきか?

 来年は,携帯電話の歴史の中でも,最大の変化が起こる年となるだろう。2000年11月で,携帯電話とPHSの累計契約者数は6000万人を突破した(電気通信事業者協会による)。

 1999年の11月時点と見比べると,1年間で1000万人近く契約者が増加している。しかし,この市場は,約8000万人で飽和すると見られている。今のままでは,2002年には新規の契約者は見込めないという状況が見えているわけだ。

 それを打開しようと,NTTドコモのiモードをはじめ,各社は音声通話以外で収益をあげようと躍起になっている。2001年は,これまで以上にデータ通信に注力してくるはずだ。

 では,どうやってデータ通信を流行らせるのか? 来年のドコモの携帯電話のトピックをまとめてみよう。

まずは1月にJava搭載,503i

 まずやってくるのはJavaを搭載した503iシリーズ(発売タイミングはこちらを参照)。この端末は“IMT-2000へ向けたデータ通信環境の足がかりを作るもの”とされている。

 NTTドコモの本命はIMT-2000だが,料金体系が全く不明な現時点では“Java搭載”自体のほうがトピックとして魅力的。携帯電話向けコンテンツ事業者も,口々に「IMT-2000よりJava」と語っている。

5月にはIMT-2000登場するも,MPEG4はお預け

 続いて5月にはIMT-2000,ブランド名「FOMA」の端末が登場する(詳細はこちら)。しかしMPEG4を使った映像を再生できる端末は11月になりそうだ。

 最初の機種は単に高速なiモード端末。FOMA端末の中では,「標準機」と呼ばれる。高速データ通信以外にFOMAの特徴といえるのは,「UIM」と呼ばれるICカードが内蔵されることだ(詳細はここ)。


FOMA端末は,Java搭載iモード機をベースに作成され,現在の端末の延長線上にある「標準機」,画像データの送受信を重視した「ビジュアルホン」,PCカードタイプの「データ専用端末」が用意されるという

MPEG4が楽しめるのは11月

 NTTドコモが本命視する,MPEG4再生が可能な端末は2001年11月の段階で投入される。ちょうど大阪,名古屋地区にもサービスが広がるタイミングだ。

 既に,PHSを使った映像配信サービス「M-Stage visual」が12月8日から開始されており(サービス概要はこちら),FOMAでのMPEG4コンテンツ配信は,M-Stage visualを引き継ぐ形で行われる予定だ。

 NTTドコモのFOMAの場合,2種類のデータ通信方式が用意される。

方式 速度
回線交換 64Kbps
パケット通信 上り最大64Kbps,下り最大384Kbps。ベストエフォート方式

 どちらの場合も通信料は未定だが,標準機はすべてパケット通信,ビジュアルホンはパケット通信と回線交換の組み合わせとなる。

Bluetoothもお忘れなく

 もう1つ,この頃にはIrDAやBluetoothが各携帯電話に内蔵されている可能性が高い(詳細はここ)。503iシリーズでも,折りたたみ型の「N503i」はIrDAを搭載してくるという。

 2001年には,キャリアの通信網を通さず,携帯電話同士,また携帯電話とほかの機器とで通信できる環境が整ってくるだろう。その時には,UIMカードもセキュリティ面で重要な役割を果たす。

 なお,NTTドコモが公表している,FOMAの2001年のロードマップは以下のようになっている。

時期 開始状況
2001年5月 東京23区と横浜市,川崎市
2001年12月 NTTドコモ東海,NTTドコモ関西でサービス開始
2002年4月 NTTドコモ北海道,NTTドコモ東北,NTTドコモ北陸,NTTドコモ中国,NTTドコモ四国,NTTドコモ九州でサービス開始。県庁所在地周辺をカバー
2004年3月 人口カバー率80%以上を達成

急いで買い替えをお勧めする機種

 これから1年の間に,何度も画期的な新機種が出るとなると,携帯買い替えのタイミングも考える必要がある。

 とりあえず,以下のような端末は完全に時代遅れになる。確実なメリットが期待できるJava搭載端末,または年末年始に安くなる現行機種を狙おう。

  • 液晶がモノクロ
  • Eメールが送受信できない

 来年登場する携帯電話は,大きなカラー液晶が標準。「電話機なんてモノクロでいい」なんて言っている人も,一度カラーを使ったらもう離れられない。通話からデータ通信に用途がシフトしていく2001年には,インタフェースである液晶は最重要パーツだ。

 さらにEメールが使えない携帯電話は,“インターネットにつながらないPC”のような存在になる。今や,企業のトップが携帯電話片手に役員にメールを打っている時代。やっとPCのキーボードが打てるようになったと思ったら,来年は携帯電話からメールを出さなくてはいけないのだ。

 とは言うものの,携帯電話の買い急ぎだけは避けたほうがいい。一定期間1つの端末を利用したユーザーには,機種変更時に通信キャリアが端末を割引販売してくれるのが最近の習慣だからだ。NTTドコモの場合,10カ月を超えて利用しているユーザーなら,だいたい1万数千円で機種変更できる。

 割引価格で機種変更するための期間条件は以下の通りとなる(NTTドコモより)。

取替え前(下)/取替え後(右) PHS ドッチーモ スーパードッチーモ 20x,60x,シティフォン 50x
PHS 10ヵ月以上 1ヵ月以上 1ヵ月以上
ドッチーモ 10ヵ月以上 10ヵ月以上 1ヵ月以上 10ヵ月以上 10ヵ月以上
スーパードッチーモ 10ヵ月以上 10ヵ月以上 10ヵ月以上 10ヵ月以上 10ヵ月以上
20x,60x,シティフォン 1ヵ月以上 1ヵ月以上 10ヵ月以上 1ヵ月以上
50x 10ヵ月以上 1ヵ月以上 10ヵ月以上 10ヵ月以上

 逆に,条件を満たさないユーザーは,機種変更に3万〜4万円が必要。こちらが正規料金だ。この料金システムには,色々意見がある人も多いだろうが,とにかく慌てて端末を選んでしまうと,何ヵ月も待つか,数倍の金額を支払って機種変更することになる。

 もっとも,「50x」シリーズのように,“503iへの変更は,どの機種でも1カ月でOKです”となる可能性もあるので,新年早々のニュースにご注意。

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[斎藤健二, ITmedia]

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