News | 2000年12月27日 10:26 PM 更新 |
ノートPCに関して,CPUの速度やHDDの容量といった,いわゆる“スペック競争”にある程度の終止符が打たれたのが2000年だった。そもそもデスクトップPCと違って,ノートPCは何にでもオールマイティに対応というわけにいかない。2001年のノートPCは,ますますコンセプトに沿った選択,利用がされるようになってくるだろう。
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実売22万9800円程度で販売されている「メビウスFJ-500R」 |
2000年に流行したコンセプトの1つは,Transmetaの「Crusoe」がもたらした低消費電力だろう。もう1つ,DVD-ROMドライブと大きなスピーカーを搭載してノートPCの画面で映画を見るという,省スペースAV PCというのもある。
2001年はどんな新しいコンセプトが出てくるのだろう? 1つは場所にとらわれずクリエイティブな活動をする手段として利用できるノートPCというものだ。これまで据え置きのデスクトップでなければできなかったこと,例えばビデオ編集や映像作成などを,場所を問わず,ノートPCで行えるようになったら,遥かにクリエイティブな可能性は広がる。
そんなコンセプトの先駆けとして面白いと感じたノートPCが,スタジオに留まる必要なくアドリブで映像作成が可能な「メビウスノート PC-FJ500R」だ。
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音楽を重視するという意味で,メビウスロゴの入ったヘッドフォンが付属する |
ビデオクリップ作成の基本となるのは,VJ(Visual Jockey)ソフトとして有名な「motion dive」をFJ-500R専用にカスタマイズした「motion dive 2.1 for SHARP」だ。motion diveは,流れる音楽に対して,あらかじめ用意しておいた映像や静止画を自在に組み合わせて表示できるソフト。一般にいうビデオ編集と違うところは,“じっくり作り込む”のではなく,“その場のノリで作り上げる”ところにある。
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リアルタイムにエフェクトを変更したり,トランジションをかけたりできるmotion dive |
VJは,DJが音(サウンド)を操るように,映像(ビジュアル)を操る芸術家だ。motion diveが注力している点は,“いかにリアルタイムに映像を操作できるか”。流れる音楽に合わせて,動画や静止画を次々と入れ替え,エフェクトを凝らし,ちょうどJ-POPのプロモーションビデオのような映像をリアルタイムで作成できる。
FJ500Rは,motion diveの操作性をさらに向上させるよう,本体左右に「SLAPボタン」と呼ばれるボタンも装備している。マウスを使わなくても,このボタンで次々と映像を切り替えていけるわけだ。motion diveで使うための映像や音楽は,「mixman LE」や「PixeDV」「デジカメNinja 2 for SHARP」など多くの作成ソフトがプリインストールされている。
こういった明確なコンセプトを持ったノートPCは,なかなか市場に受け入れられるものではない。しかし実際に触れてみれば,“ビデオクリップ作成に特化したPC”は,“何でもできるようで,どれも中途半端なPC”に比べると魅力的だ。音楽が流れる5分間に,なんとなく雰囲気で操作してできたビデオクリップは,もう,とてもかっこいい。瞬時に,クラブのVJ気分になれる。もちろん,FJ500Rは万人に必要とされるノートPCではないだろう。だが,オリジナルのコンセプトを打ち立てたことは大きく評価されるべきだ。ノートPCこそ,個人の嗜好に合わせて選ぶべきであり,ユーザーの好みが表に出るものだからだ。
あなたは,安いだけの普通のノートPCを選びますか? それとも,ほかのマシンではできない何かが可能なノートPCを選びますか? 2001年は,新しいコンセプトを持つノートPCが多数登場することを楽しみにしたい。
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