News 2001年1月25日 09:41 PM 更新

登録料大幅値下げも――JPドメイン登録業務民営化

JPNICは昨年12月26日にJPドメイン名の登録管理を行う新会社を設立した。「公共性の維持」と「競争力の強化」が掲げられている。

 社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は1月25日,昨年12月22日の第11回総会で承認された汎用JPドメイン名の登録管理業務を行う新会社として,「日本レジストリサービス」(JPRS)を設立したと発表した。設立日は2000年12月26日。資本金は1億8000万円で,JPNICが株式の3分の2を,残りをJPRSの持ち株会などが保有する。社長には,JPNIC副理事長の東田幸樹氏が就任している(副理事は任期満了で辞任する予定)。また,従業員は当初20名程度で,7月までに95名まで増員する計画になっている。

 またJPNICでは,既存の属性型・地域型JPドメイン名の登録管理業務についても順次JPRSへの移管を進めていく。移管完了は2002年の予定。なおJPRSは,初年度に100万件ドメインの取り扱いを目標に掲げており,売り上げは50億円を見込んでいるという。

「民営化で競争力を高める」

 JPNICの村井純理事長は,これまで公益法人が行っていたJPドメイン登録管理業務を民間企業に移管することについて,「JPドメインの健全な発展のために,必要な措置。世界的に見ても,ICANNのようにドメイン登録管理業務は民営化する流れにある。基本的にレジストリ業務は独占的な性質を持ち,競争は指定登録事業者間で行われるもの」と説明した。

 また,一部で“JPドメイン消滅の危機”と言われるように,登録料金が高く,個人では取得できない不便なJPドメインに,ユーザー離れが進んでいることも民営化が急ピッチに進んだ原因だ。JPNICによれば,2000年12月のJPドメイン新規登録数は,初めて前年同月を下回ったという。そのため,複数のドメインが取得できる汎用JPドメインの導入が急務となっていたが,社団法人のJPNICでは意思決定に時間がかかり,なかなかスムーズにすすまないのが現実だ。「.comや.netといった商品化されたgTLDとJPドメイン名が競争するためには,柔軟な活動が行える民間企業のほうが適している」(村井理事長)。

 JPNICの事業内容には大きく分けて,「情報提供事業」「IPアドレス割り当て事業」「JPドメイン名登録管理事業」の3つがあるが,JPRSにはこのうち,JPドメイン名登録管理事業だけを移管し,公共性の高い事業については,JPNICが引き続き行っていく。また,JPRSでは,「公共性を保つ」(東田社長)ため,ISPの代表者や政府関係者などから構成される諮問委員会を設置している。

卸値は3500円

 JPドメイン名を取得するには,JPNICへの直接申請と,JPNIC会員の指定登録業者を通じて行うという2つの方法がある。現在,登録費用は,JPNICに申請した場合が2万円。指定登録業者の場合はそれぞれ異なるが,JPNICでは1件あたり5000円の登録費用を指定事業者に請求している。指定事業者ではこれに料金を上乗せしてサービスを行っている。

 汎用JPドメインについては,JPNICへの直接申請が1万4000円,指定事業者への卸値が3500円に値下げされる見込み。さらに,東田社長は「国際的なJPドメインの競争力を高めるには,価格の引き下げは取り組まなければならない課題」と述べ,「100万件の目標が達成できれば,その半分には引き下げたい」とした。

 なお,汎用JPドメインの導入スケジュールは以下のようになっている。

2001年
2月22日
汎用JPドメイン名申請受け付け開始,優先登録申請の受け付け開始(〜3月23日)
2001年
4月2日
同時登録申請の受け付け開始(〜4月23日)
2001年
5月7日
先願登録申請受け付け開始。汎用JPドメイン一部運用開始

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[中村琢磨, ITmedia]

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