News | 2001年1月25日 11:59 PM 更新 |
NTT東日本とNTT(持株会社)は,光IPネットワークと高速無線技術を使ったブロードバンドインフラの実証実験「Biportable」(バイポータブル)を行うと発表した。渋谷駅を中心とした限られた地域を対象とし,人の集まるスポットやオフィス,住宅内など40カ所に無線アクセスポイントを設置。ノートPCやPDAでAWA(Advanced Wireless Access)無線システムによる最大36Mbpsの高速アクセスを体験できるようにする。
Biportableでは,光IP網を中心にGigabitイーサネットやFastイーサネットを使用してバックボーンを構築し,AWAを足回りに利用。双方の技術的検証を行う。
また,広い帯域幅を利用した新しいコンテンツやアプリケーションを検討し,新たなビジネスモデルを模索するのも目的の1つだ。今回のトライアルでは,NTT東日本ビル内にストリーミング配信や課金の機能を受け持つサーバ類が置かれ,コンテンツプロバイダの用意するインタラクティブ型(双方向型),オンデマンド型(配信),発信型,企業向けアプリケーション(VPNなど)といったさまざまなコンテンツやアプリケーションを提供する予定だ。参画企業・団体は46を数える。
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Biportableで使われる無線基地局,無線カード,PDA型端末。カードとPDAは各200台が配布される |
トライアルの期間は,2001年3月〜8月。周辺のネットベンチャー社員や一般ユーザーから専用Webページを通じてモニターを募り,技術面や実際の使用感を検証するという。継続的モニターには,5月からカード型無線端末やPDA一体型端末が提供される予定だ。
今回,使用されるAWAは,NTTアクセスサービスシステム研究所(AS研)が開発した無線技術だ。5GHz帯を使用し,最大36Mbpsという高速伝送を可能にする。帯域幅を端末の状況やコンテンツによって柔軟に設定できるのが特徴で,例えば動画を受信する際には下りを高速に,上りを低速にするといったことが可能になる。「今回は,動画コンテンツとして最大2Mbpsのものが用意され,視聴時には2Mbpsの帯域幅が保証される。また,端末がPDAの場合は500Kbpsに自動的に落とす機能もある」(NTT東日本)。さらに,500Kbpsは最低帯域として保証され,常にこれ以上のスピードが出るようになっているという。
AWAでは,1つの基地局で半径100メートルをカバーし,最大122のユーザーが同時に接続できる。もともと,AWAは128のチャンネルを持っているが,「今回は6本を制御用に使用するため」(NTT情報流通基盤研究所)だ。同社では,将来的に同時接続ユーザー数を増やすことも検討しているという。
実用性の高いAWAだが,一方で課題もある。AWAが利用する5GHz帯は,移動衛星システムなどが使用している周波数であり,ここを使うには総務省の認可が必要。NTTは「Biportableを通じて,本格展開を検討していく」としているが,AWAを実用化するためには,まず5GHz帯の開放を求めていくことになるだろう。なお,NTTは今回,「室内に限定」という条件で認可を得ている。このため,PDAタイプが用意されていながらも“道ばたでちょっとインターネット”とはいかない。
編集部注:速報の内容に一部誤りがありました。屋外では利用できません。関連リンク
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